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モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年2月26日(日)号

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 難航するスウェーデンとフィンランドのNATO加盟 なぜトルコは反対する? トルコの独自外交にみる 「したたかさ」 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------   昨年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻をすると、ヨーロッパ各国は安全保障に対する認識を改めざるを得なかった。  なかでも、スウェーデンとフィンランドが昨年5月、NATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請する。  両国ともに、長年、中立政策を取り、NATOへは加盟してこなかった。NATOに加盟することにより、旧ソ連、そしてロシアを刺激したくなかったからだ。  しかし、ロシアのウクライナ侵攻はその状況を一変させる。ロシアが今後、周辺諸国に対し、どのような行動を取るか不透明になったからである。  スウェーデンとフィンランドがNATOへの加盟申請した理由は、ウクライナのようにロシアの攻撃を受けたくないという意思表示でもあった。  スウェーデンとフィンランド両国に対し、イギリスやドイツなどは賛成の意思を示す。  そのようななか、しかし難色を示したのがトルコだ。NATOへの加盟には、現加盟国30カ国すべてが賛成する必要がある。トルコが反対すると、加盟の実現はしない。  トルコか反対する理由は、国内のクルド人問題への両国の対応が原因だった。クルド人は、トルコ、イラン、シリアにわかれて暮らす、国を持たない最大の民族とされる。  クルド人の勢力の一部には、クルド人国家を樹立させようとしている者もおり、トルコ政府はその対応に追われている  一方、スウェーデンやフィンランドは難民としてクルド人の多くを受け入れており、これに対し、トルコは両国を、 「クルド人テロリストを匿っている」 と非難する。 目次 ・スウェーデン 市民はエルドアン大統領の人形を逆さ吊りに ・フィンランド スウェーデンよりも切実なNATOへの思い ・トルコの独自外交にみる 「したたかさ」 ・スウェーデン 市民はエルドアン大統領の人形を逆さ吊りに  まず指摘しなければいけないのは、スウェーデンとフィンラド両国ともに、日本とは違い人権を非常に重視する国であること。  日本とは違い、トルコを勝手に“親日国“であるとラベリングして、結果、トルコの人権侵害には目を瞑ることはしないのだ。  そのうえで、トルコの人権侵害にも厳しい対処を示している。スウェーデンには、フィンランドよりも多くのクルド人が移り住んでいる。  さらにスウェーデンはフィンランドとともに、トルコへの軍事物資の売却を解禁する。これは、トルコが2019年にシリアに軍事介入したのを受けての措置だった。  他方、スウェーデン市民はトルコ政府に対し、厳しい目を向ける。今年の1月中旬、スウェーデンの首都ストックホルムではトルコのエルドアン大統領の人形を逆さ吊りにする抗議活動があった。  同月21日も、トルコ大使館近くで抗議デモがあり、コーランが燃やされる事態に。  このことを受け、エルドアン大統領は、 「スウェーデンはNATO加盟をめぐり、我々からの支持を期待すべきではない」(1)

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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