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第57回 気球の次は「ロシアへの武器支援」で中国を揺さぶり わかりやすい対立の裏で交錯する各国の動き

富坂聰の「目からうろこの中国解説」
 一部のメディアで報じられ、注目も集めていた中国の習近平国家主席のウクライナ侵攻1年を受けた平和に関する演説は、見送られた。代わって中国外交部から発せられたのが「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」(=12項目提案文書)だった。  停戦の見通しが立たないウクライナ情勢を受けて、中国の役割を期待する声もあったが、この「12項目提案文書」に対する国際社会の反応は芳しくない。「具体性を欠く」、「従来の主張をまとめただけ」、「行動がともなわない」といった批判の声がメディアでも目立つ。  だが、そもそも中国は自らの手で即座に停戦が実現できるとは考えていないのだろう。ロシアとウクライナはともに、話し合いのハードルを非現実なレベルにまで上げてしまっていて、双方の国民も戦争を続けるそれぞれの政権を高く支持しているからだ。 ウクライナ国民を対象に行ったある調査では、国民の95%が「最後にウクライナが戦争に勝つ」と信じているとされ、ゼレンスキー大統領への支持も90%に達している。一方のロシアも、プーチン大統領への支持が72%を下回った(最高は81%)ことはないのだ。  さらに中国にとって厄介なのは、アメリカだ。中国の目から見れば戦争のほぼ当事国であるアメリカが、習近平にそんな名誉な役割を担わせるはずはないからだ。

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