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vol.44「繊細かつ大胆な挑戦者、チャンスを掴む壁との向き合い方~秋元康さんの人生術~」

小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術 vol.44「繊細かつ大胆な挑戦者、チャンスを掴む壁との向き合い方~秋元康さんの人生術~後編」 【今週の目次】 ============== 1. 成美のつぶやき └ 日本のスタートアップが戦場を救う!? └ 試行錯誤を繰り返した地雷除去ロボット 2. 繊細かつ大胆な挑戦者、秋元康さんの人生術 〜後編〜 └ 壁は必ずしも乗り越えるものではない!? └ 官僚になるべく東大を目指していた高二の夏に転機が訪れる └ 高校3年生でレギュラー番組3本 └ 「こんなことがいつまでも続くわけがない」 └ あえて回り道をして掴んだチャンス └ 美空ひばりの秘話「人はこの川の流れのように生きていく」 └ 折れた時代や経験があったからこそ、今の秋元康がある └ 秋元康がいつも語りかけることとは?3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ 4. お知らせ ==============。 1. 成美のつぶやき 日本のスタートアップが戦場を救う!? ロシアのウクライナ侵攻が始まってから1年が過ぎました。 どんなに晴れた空を見ても、心に苦さが残るのは、終わることのない戦争の記事に日々目を通すからです。 そんな中、日本の技術が戦場となった土地に大いなる恩恵をもたらす、というニュースに接し、明るい気持ちになりました。現在も地雷の被害に苦しむカンボジアの現状を知った日本のスタートアップ企業が、地雷除去ロボットの開発に成功しました。 地雷除去ロボットを完成させたのは、東京都新宿区にあるスタートアップ企業・IOS株式会社の今井賢太郎社長です。 産業ロボット開発を目指していた今井さんは、カンボジアで地雷除去に支援を続けるJICAから現状を聞き、精密機器メーカーである自社のロボット技術を活かせないか、と思い立ったそうです。 「日本の労働力が不足すると言われている中で、当初は国内向けに『きつい、汚い、危険』と言われる3Kのような作業を人に代わって行うロボットを開発しようと考えていいたんです。そんな時、JICA(国際協力機構)の担当者を通じて知ったのが、カンボジアの地雷の問題でした」 アジアで地雷の被害が顕著なのは、カンボジアです。 1967年から1979年まで続いた内戦では各地に大量の地雷が埋められました。内戦終結から既に30年以上が経っていますが、カンボジアには今も400万から600万個の地雷が残されています。内戦で残された地雷の被害は今も相次ぎ、この10年間で1100人以上が死傷したそうです。 現地を視察すると、その深刻さが胸に迫ったと言います。 「とても自分たちにはできない。まねできない危険な作業を現地の方々は続けていました。地雷原にかがみ込んで、地雷を見つけ、掘るという作業を繰り返している。広大な面積がたくさんの地雷が埋められていますから、どんなに作業しても追いつかないのです」 地中に埋められた地雷の除去は、手作業でしか行えず、常に命の危険を伴います。 地雷の除去、撤去のような仕事こそ、ロボット化していかなければいけないと考えた今井さんは、日本に戻って、ロボットの開発を進めることを決意しました。 試行錯誤を繰り返した地雷除去ロボット 地中に埋まった地雷をどうすれば探し当て、掘り出すことができるのか。 作業員の安全を確保することはもちろん、広大な場所に埋まる地雷をどう効率的に取り除くことができるのか。今井さんの長きにわたる挑戦が始まったのです。当初のロボットは、アームの先端に掘削用のドリルを付けて、地雷のある場所の近くから少しずつ地面を掘り進めていく、というものでした。しかし、ドリルでは地雷の爆発の危険が大きく、このプランは実現しませんでした。 次に考案したのは、圧縮した空気を吹き付けて地面を掘り進める技術でした。アームの先にドリルに変わって取り付けたのは、空気を吹き付けるホースです。これは、天然記念物の樹木などの管理や保全を手がける樹医の間で使われていた技術だそうで、木の根などを痛めることなく、土の中に埋まっているものを丁寧に掘り出すことができました。 今井さんは、この技術を地雷の掘削ロボットに応用します。 「他社の企業とも連携し、開発期間は5年に及びました。資金繰りが厳しい時もありましたが、その間、応援してくださる企業やJICAからの支援や、金融機関からの融資をやりくりして、何とか完成にこぎ着けました」 毎年1台ずつ試作を重ね、5号機となるロボットが、2022年7月、カンボジアの政府機関の性能評価試験に合格します。地雷を掘り出す作業の性能評価試験に合格したロボットは、今井さんのロボットが初めてでした。 2022年11月からは、地雷の除去を手がける政府機関もロボット専門のチームと共にカンボジアの地雷原に入りました。作業は、安全が確保できるよう15メートル以上離れた場所から行います。アームを地面に近づけて、先端から強い風圧を当てていくことで、直接、土に触れることなく地面を掘り進めていきます

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  • これまでノンフィクション作家として、たくさんのトップアスリートやトップ経営者の唯一無二の「人生」を取材してきました。その経験をもとに、書籍だけでは書ききれなかった小松成美流のコミュニケーション方法や独自哲学を伝えていきたいと思います。経営に、スポーツに、文化に。多岐に渡って、学びあるコラムを配信して参ります。誰もが発信者となる時代に、是非ご参加ください。
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