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高野孟のTHE JOURNAL Vol.589 2023.2.27
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1195》
続・石破茂の防衛論/時代遅れのトマホーク500発に
2000億円超を注ぐ案は白紙に戻せ
【2】《CONFAB No.555》
閑中忙話(2月19日~25日)
【3】《FLASH No.503》
「リベラル」と「左翼=旧革新」は全く別の概念である
5つの理由/日刊ゲンダイ2月23日付「永田町の裏を読
む」から転載
■■ INSIDER No.1195 23/02/27 ■■■■■■■■■■
続・石破茂の防衛論/時代遅れのトマホーク500発に
2000億円超を注ぐ案は白紙に戻せ
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本誌は先週、石破茂=元防衛相の2月15日衆院予算委
での質問を詳しく取り上げたが、彼は今週の「サンデー
毎日」3月5日号に登場してさらに細かいニュアンスま
で含めて語っているので、その中からいくいつかの論点
を追加的に紹介する。
●軍部の組織防衛に引きずられるな
石破は要旨次のように言う。
▼中国の軍拡は確かに懸念事項ではあるが、我が国もま
た軍事大国であってはならないし、防衛力は節度を持っ
て整備されるべきだ。軍の組織維持が自己目的化して痛
い目に遭ったことが我が国にはある。ここは歴史に学ば
なければならない。
▼米国と戦って日本は勝てるのか、「総力戦研究所」が
シミュレーションした結果、総力戦になると必ず負ける
という結果が出た。にもかかわらず戦争に突入してその
予測通りになった。〔その裏には〕陸海軍それぞれの組
織防衛があった。
▼海軍からすれば戦艦「大和」は完成寸前だったし、
「武蔵」は長崎で建造中だった。米国と戦争できないな
らそんな海軍には予算をやれない、陸軍もソ連と戦争で
きないならそんな陸軍に予算はいらない、となった。予
算確保という個々のセクションの部分最適が、総力戦で
は勝てるわけがないという全体最適を大きく歪める結果
となった。政治もメディアも止めなかった……。
これは全くもって今日的な問題で、冷戦が終わってソ
連の脅威が事実上消滅し、それ以外に日本に向かって大
規模上陸侵攻して来るような国は存在しないことが誰の
目にも明らかになったことで、陸上自衛隊の存在意義は
著しく減退した。当時、自民党中枢の金丸信=自民党副
総裁から「陸自大幅削減、海空中心のハイテク部隊によ
るハリネズミ防衛論」が出たり、その金丸と親しかった
社会党の田邊誠委員長から陸自を「国境守備隊、内外災
害派遣部隊、国連平和部隊に3分割すべきだ」との案が
打ち上げられたりした。
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