「パウエルFRBによるインフレ退治」はほぼ8合目付近まで来
ています。ところが、「総仕上げの残りの2合分」を目指す今こそ
が、金融政策的には「最も難しい時期」に差し掛かっていると指摘
できます。
ここに来て、経済学者や有力なエコノミストの間では、「パンデミ
ック後のアメリカ経済には大きな構造変化が起きていて、アメリ
カ経済の適正なインフレ率は3~4%あたりに上昇している。」
「そんな中で、FRBが強引に2%のインフレ目標を達成しようと
すれば、アメリカ経済が深刻な不況に陥ってしまう。FRBは2%
のインフレ目標を目指してはいけない」とする見方が急速に台頭
しています。
これは、「2%インフレの着地点」は「無し」の「ノーランディン
グ」シナリオです。
言い換えると、「ノーランディング」シナリオとは、今後のパウエ
ルFRBは、表向きは「2%のインフレも目標」を掲げながらも、
経済のハードランディングを回避するために2%インフレ目標を
実際には目指さず、こっそりと「3~4%の高めのインフレ」を受
容してゆくというものです。
「高めのインフレ」は、本来ならばアメリカ株式市場にはおおむ
ね好材料のはずなのですが、慢心は禁物。
なぜならば、アメリカの債券市場のほうは未だに「アメリカ経済
ハードランディング」の「悲観的なシナリオ(逆イールドカーブ)」
を織り込み過ぎているからです。
債券市場が「悲観シナリオ」から「ハードランディング無し」の
「楽観シナリオ」へとダイナミックにシフトしてゆく過程で、ア
メリカ債券市場は「混乱」に陥ることでしょう。
長期金利は急上昇して、アメリカ株式市場も調整するでしょう。
その反対に、パウエルFRBが「2%インフレ目標」達成に固執し
て、政策金利を必要以上に引き上げ続ける「ハードランディング」
のシナリオの可能性も残っています。
この場合は、アメリカ株式市場は年後半に大幅調整へ。
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