永田町異聞メルマガ版
「国家権力&メディア一刀両断」 2023.03.02
新 恭(あらた きょう)
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原発60年超運転であらためて骨抜きが露わになった原子力規制委員会
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岸田首相は原発を60年をこえて運転できるようにするため、原子炉規制法と電
気事業法を改正する法案を閣議決定した。今国会に提出するかまえだ。
安全審査で長期停止した期間分は延長可能という新解釈をひねりだして延々と
既存原発を生きながらえさせようというのである。
そのための同意を求められた原子力規制委員会の会合で、今年2月13日、委員
の一人が“反乱”を起こした。
「この改変、法律の変更というのは科学的・技術的な新知見に基づくものでは
ない。安全側への改変とも言えない。審査を厳格に行えば行うほど、将来、よ
り高経年化した炉を運転することになる。この案には反対いたします」
発言の主は、原子力規制委員会の5人のメンバーのうち、ただ一人、原子力の
専門家ではない石渡明氏である。日本地質学会会長をつとめたことのある地質
学の第一人者だ。
原発の運転期間については、福島第一原発の事故後、原子炉規制法の改正で原
則40年とされ、規制委が認可すれば最長20年延長できることになった。つまり
長くとも運転開始から60年経てば廃炉になるわけである。
電力会社など原発事業者はこの規定の撤廃を政府に要望してきた。日本には19
70年代に稼働した老朽原発が多い。原発事故後の厳しい安全基準に適合するよ
う施設を改良し再稼働にこぎつけたとしても、残りの運転期間が短ければ、思
うような収益が見込めない。
言うまでもなく、電力会社が原発稼働に躍起になるのは「総括原価方式」とい
うシステムがあるからだ。必要経費に利潤を足して電気料金をはじき出す。利
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