【ダブルワーク】
夜の世界にハマって飲み歩くようになってから、みつおは金遣いが荒くなっていた。
飲み代が無いと、前借りをするようになっていたので、給料日になっても半分は前借りで引かれていて、その月もお金が無くなると前借りをするという悪循環になっていた。
そんな時に、東京で一緒だった友達が沖縄に帰ってきた。
最後に居候をして、湘南に遊びに行った友達である。
家に電話すると、たまたまその友達が出たので、家の場所を聞いて遊びに行くことにした。
「おぉ、久しぶりだな、いつ帰ってきたの?仕事は?」
「2ヶ月前に帰ってきて、今キャディのアルバイトしてるよ」
「キャディ?ゴルフ場の?」
「うん、終わった後自分でも回れるから面白いよ」
「面白そうだな」
キャディは、1回ラウンドで5,000円、早朝スタートと昼スタートを2回やれば10,000円になるという。
みつおは興味を持って聞いてみた。
「俺もバイトできないかな?」
「できるよ、人手不足だから喜ぶはずよ、紹介するか?」
「うん、お願い」
最近金欠病なので、しばらく飲みに行くのをやめてバイトしようと思っていたのでちょうど良かった。
早朝からなら、店が終わって一旦家に帰ってから出かけたらちょうだ良い時間である。
紹介してくれるというので、さっそく次の日に面接に行った。
面接といっても、簡単な説明と連絡先など記入をして登録しただけである。
後は出れる日に朝早くきて待っていれば順番にカートの乗って待機し、お客様が決まったらそのグループのゴルフバッグを探してセットし、スタートホールで待機してスタートするのである。
初めは戸惑ったが、1日やるとすぐに慣れて次の日からは自分で準備できるようになった。
最初の一週間は毎日通ったのだが、さすがに夜の仕事の後のキャディはキツかったので、週に三回くらい出勤するようにした。
ゴルフはやったこと無かったが、そこのゴルフ場は常連客ばかりなので、細かいことまで要求される事はなかった。
「キャディさん、ここからだと残り何ヤードくらいかな?」
と聞かれても
「そうですね、あの大きな木が200ヤードの地点なので、それを目安に計算すると…」
そこまで言うとお客様が勝手に判断して計算してくれた。
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