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「世界の見え方ががらりと変わる本」を21冊、一気に紹介しよう 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.745

佐々木俊尚の未来地図レポート
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 佐々木俊尚の未来地図レポート     2023.3.6 Vol.745 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.pressa.jp/ 【今週のコンテンツ】 特集 「世界の見え方ががらりと変わる本」を21冊、一気に紹介しよう 〜〜〜「読む力」をつけるための新年度ブックガイド 未来地図キュレーション 佐々木俊尚からひとこと ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■特集 「世界の見え方ががらりと変わる本」を21冊、一気に紹介しよう 〜〜〜「読む力」をつけるための新年度ブックガイド ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨年刊行した『読む力』はおかげさまで、かなりのベストセラーとなりました。この本ではドストエフスキーの古典的な名著『罪と罰』を題材にして、この小説が持っている「知」をどう自分自身に取り込んでいくのかということを解説しています。しかし刊行後に「もっと他の本も紹介してほしい」「どんな本を読めばいいですか」という読者の皆さんの声をたくさんいただいています。 そこで今回は、「読む力をつけるためのブックガイド」をお届けです。実はこの選書は、とある書店に依頼いただいたオススメ本コーナーに選んだものと同じなのですが、紹介テキストをここではかなり詳しくしています。 視点を多様にもち「こんな見方があったのか!」と驚けることが、情報をコントロールする「読む力」にもっとも大切な体験だと考えています。その斬新な感覚を味わっていただけるような本を選びました。なお以下のリンクはすべてKindle版です(紹介した本がすべてKindleで出ている!電子書籍化が進んでいることを本当に嬉しく感じます)。 ★『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 https://amzn.to/3ZyvTC5 チャッターとは、頭の中に湧き出てきてしまうネガティブな思考と感情のことを指している。この厄介な「ひとりごと」の悪循環がわたしたちの精神をいかに害するのかをあらゆる方面から分析していて圧巻の本。特に、SNSでの他者からの共感が必ずしも良いものではなく、このチャッターを増幅させてしまうのだという指摘は眼からウロコだった。「そうですよ、あなたが悪いんじゃない。全部あいつが悪いんだ」みたいなことをSNSで言い合って、結果としてえらく攻撃的になっていく人たちを見かけることが多いのは、そういうことかと納得。 そして本書に呈示されている解決方法も非常に立体的かつ構造的で、腑に落ちまくった。 ★『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』 https://amzn.to/3kyKcYt 「教養」というものが本来の意味から外れ、「ビジネスに役立つ」というものに変化している。最近は従来パターンの自己啓発が売れなくなったこともあってか、「教養を仕事に役立てよう」というようなビジネス本がやたらと目立つようになっている。「教養があれば欧米人と商談するときも有利だ!」とかそういうの。これを「ファスト教養」と名付け、新自由主義の台頭と重ね合わせているところが非常に秀逸で面白い展開だった。ビジネス教養ブームにモヤモヤと感じていたものが言語化されている。 ★『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』 https://amzn.to/3mj8aHO 映画にしろ小説にしろ、「物語」はとても大切なものだと通常考えられている。しかしその通念をひっくり返し、物語こそが私たちの社会を分断させているのだと指摘する刺激的な内容。その分析を太古の狩猟採集時代の共同体から説きおこし、狩猟採集時代の100〜150人の共同体では仲間を分裂させる者、そして共同体の外部の者が「敵」だった。この敵と共同体内部の味方に分け戦いを描くことが、人類のそもそもの物語の発祥だったという。たしかに神話をベースにしているハリウッド映画には、そういう構造の物語が非常に多い。「ハリーポッター」シリーズが 英米のポリコレの闘争心に火を点けているというような話もあり、ウムウムとうなずける。非常に気づきの多い本である。 ★『プーチンとロシア人』 https://amzn.to/3kEJmcM なぜプーチンはあのような無謀な戦争を引き起こしたのか。その根底の民族意識を根底からわかりやすく解き明かしている。海に守られる日本と異なり、無限に広がる平野に囲まれていると領土に対する感覚がまったく異なるという話が興味深い。だからロシア人にとっては、領土や国境というのは固定的なものではなく、つねに奪ったり奪われたりする可変なものであるという意識。だから北方領土を日本に返すわけなどないというのは、驚くとともに納得の解説だった。ロシア関連本はたくさん読んだが、歴史や民族性にまで踏み込んでロシア人への理解がこれほど

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  • 世界はこれからどうなっていくのか? テクノロジーは社会をどう進化させていくのか? 人と人の関係はどう変化していくのか? この不透明な時代の先に何が待ち受けているのかを、 独自の鋭い視点から切り出し、未来を見通します。 毎号きわめて濃密な特集記事に加え、ブックレビュー/ライフハック/特選キュレーション など盛りだくさんのメニューをご提供。さらには本メルマガ限定で日本では紹介されていない英語圏の記事をまとめて紹介しています。 配信日は毎週月曜日午後5時。激動の一週間をスタートさせるのにふさわしい知的刺激をどうぞ。
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