■「営業」とは再現性のある科学
企業の競争優位性は商品力と営業力で決まる。製品間の知覚差異の
極小化で、商品力では差がつきにくくなった市場環境で競争優位性
を確立するキーになるのは営業力だ。
営業は、属人性の強い仕事というイメージを持つ人も多い。だが、
「どんなときでも成果を出し続ける、すなわち「成果に再現性をも
たらす法則」は確実に存在する。
営業は、再現性のある科学だ。「科学」とは、広辞苑によれば「観
察や実験など経験的手続きにより実証されたデータを論理的・数理
的処理によって一般化した法則的・体系的知識」だ。
営業についても、成果を論理的に一般化することが可能だ。再現性
をもたらす法則を体系的に説明できるのだ。
★
営業の成果に再現性をもたらすための法則について必要な要素を、
汎用的かつ普遍的なものにまとめるとマーケティングとリサーチ
になる。
マーケティングとは、お客様に選ばれ続ける状態を作ることだ。し
かし、お客様のニーズは、すでに何らかの選択肢で満たされている
ケースがほとんどだ。
つまり、自社が選ばれるには、ニーズが発生した時に他の会社の商
品・サービスを選ぶという既存の行動から、自社の商品・サービス
を選ぶという自社に望ましい行動へと変化させねばならない。
その時、マーケティングの活動が担うのは行動を変えること、すな
わち行動変容ではない。お客様の認識を変えること、すなわち態度
変容だ。
行動を起こすかどうかは当事者が決める。つまり、マーケティング
に基づく営業とは、お客様の現在の認識を、自社に望ましい認識に
変化させるためのアクションを起こすことなのだ。
★
お客様に課題が発生した時、頭に浮かぶ商品・サービスは自社の会
社のものだけとは限らない。お客様にはたくさんの選択肢があるの
だ。
営業が目指すのは競合がひしめき合う環境の中、自社が解決できる
課題が発生した時、お客様に選ばれる状態を作ることだ。
お客様の課題解決のために、自社の商品・サービスが存在し、選ん
でもらう。その定義に照らすと「売上=自社が解決できる課題の総
量×自社が選ばれる確率×課題解決にかかる費用」と表せる。
ポイントは自社が解決できる課題の総量の中には、自分たちが察知
していない課題や、お客様自身が察知していない課題も含まれると
いうことだ。
つまり、売上を最大化するために必要なことは、自社が解決できる
課題を、できるだけ多く集める・作り出すことであり、自社が選ば
れる確率を高めることだ。そのために、営業のやるべきことは
すなわち「お客様との接点から現状を理解する」「現状と理想のギ
ャップから問題抽出する」こと「解決すべき課題を設定する」こと
「課題と自社の商品・サービスを紐付け、選んでもらう」ことだ。
★
はじめは、自分から働きかけないと、お客様の課題が顕在化しない
こともある。また、顕在化しても働きかけがなければ選んでもらえ
なかったりもする。
だが、営業活動を通して、お客様の認識を理想の状態に変化させる
こと、すなわち態度変容ができれば、課題が発生した時には、お客
様が勝手に自社を選んでくれる。
営業が最終的に目指すべきは、営業が何もしなくてもお客様が自社
を選ぶことが当たり前になっている状態だ。必然的に選ばれる状態
こそが最終的なゴールなのだ。
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