1.はじめに
令和5年度の当初予算案が2月28日に衆議院本会議で可決されました。憲法で衆議院の優越原則があるため、参議院で議論の結果にかかわらず、3月中には予算が成立します。
参議院での議論を残してはいるものの、国会での主なテーマは新しく作られる法律案の議論に移行します。
法律とは、政策ツールのうちの規制に該当します。規制の特徴は、「強制的に国民の行動を変えるツール」であるということです。
一例として、景品表示法について考えてみましょう。
この法律は、商品について、実際よりもはるかに優れている、事実に反しているような広告やパッケージを作ることを禁止するものです。
この法律がない場合、目の前の商品が本当に欲しいものか見分けるのが難しくなります。例えば、本当は効果がないのに痩せるといってサプリメントの広告をした場合、ダイエットをしたい人が効果がないサプリメントを買ってしまうことになります。
販売者側はたいして質の高くない、全く意味のない商品を、良い値段で販売でき、利益を得られるので良いでしょうが、一般市民としては、本来あると思っていた品質がない商品が買わされることになります。販売側のほうが消費者よりも知識を持っているので、消費者は本来自分が買うべき商品を判断できなくなります。
そのようなことにならないように景品表示法には、罰則が設けられています。実証されていない効果をうたった広告をした場合、商品売り上げの一部を課徴金として納付する規定が設けられています。
このように、知識がない人でも、だまされて質の低い商品を買わないよう、国民や企業の行動を強制的に制限するのが、景品表示法です。
このように、法律というルールを変えることで、人の生活やビジネス環境は大きく変わるため、より良い政策を提案したいと考える人たちは、法律の案が作られ、そして国会で可決承認されるまでのプロセスを知っておかなければいけないのです。
この記事では法案提出のきっかけ、政府内での議論、政府内で法案が作られてから、与党の部会で承認されるまでの一連の流れ、そして法律案の中身にどんな人たちが影響を与えているかについて説明します。
2.今回の国会で提出される法案の一例
すでに日本にはたくさんの法律が存在していますが、時代の変化により、新しい規制が必要になることがあります。例年通常国会では60本近い法案が成立します。今回の国会でも多くの法案が議論される予定です。
例えばフリーランス保護法案は、企業などに雇われずに働くいわゆるフリーランスが日本で450万人強となり増加傾向にあるなか、報酬の支払いの遅れや一方的な仕事内容の変更といったトラブルを経験する人が増えていることへの対応として作られる法律です。
‐フリーランスへの報酬額を書面などで明示しなければならないこと
‐60日以内に報酬を支払わなければいけないこと
‐フリーランスに責任がないのに、(成果物の)受け取りを拒否したり、報酬を減額したり、返品などを行わないこと
を業務委託を行う事業者の義務とするルールを設定します。
※正式には特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案
参考:
https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf
このフリーランス保護法案を使って、政策を先取りする方法をお伝えします。
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