「12年目の3月11日」
この3月11日で、東日本大震災が発生してから12年目を迎えます。12年と言っても、愛するご家族を失ったご遺族の心の傷は、とても月日によって癒されるものではないと思います。そして、何よりもお辛いと思うのは、未だに2523人もの人たちのご遺体が見つからずに「行方不明者」とされていることです。また、福島第1原発事故の影響で自宅に戻れない避難者も、未だに約2万7800人もいらっしゃるのです。
それなのに政府は、被災者や避難者のことなど完全に置き去りで、もう12年も経ったから問題ないだろうと、平然と原発再稼働や処理水の海洋放出を閣議決定してしまいました。あたしには、過去の過ちから何も学ばないという無責任さだけでなく、数えきれないほどの人たちの心の傷にまったく配慮しないという、この無神経さが信じられません。
しかし、当事7歳で被災した子どもたちは、避難先の知らない土地の小学校に入学し、差別や虐めや孤立感などを乗り越えて成長し、この春で高校を卒業するのです。大学へ進学する人たちも、社会へ出て働く人たちも、この「震災から12年」という1つの時間的な区切り、そして、成人を迎えて高校を卒業するという人生の区切りをきっかけとして、希望に満ちた新しい一歩を踏み出してほしいと願っています。
また、すでに東日本大震災が「過去の出来事」となってしまっている多くの傍観者たちには、この12年目の区切りの日を、大震災と原発事故の記憶を風化させないための日としてほしいと思います。そこで今回は、日本歌人クラブの主催、文化庁と毎日新聞社の後援で、毎年行われている「全日本ジュニア短歌大会」の作品集から、東日本大震災が発生した平成23年(2011年)に、子どもたちが震災をテーマに詠んだ入選作品を紹介したいと思います。
作者名の後の学年は当事のものなので、たとえば「中学1年」と書いてある子どもは、12年が過ぎた現在は25歳ということになります。こうした時間の流れもイメージしながら、大震災直後の子どもたちの声を、改めて胸に刻んでほしいと思います。
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