■状況を把握する
ビジネスの現場では、物事がうまく進まないこともある。解決策が
思い浮かんでも、どれを選ぶべきか、確信が持てず、先入観で対象
を見て、結論に走ってしまいがちだ。
情報を収集しても、多くの情報をさばききれず、決断に悩んでしま
うこともある。こうした悩みも、思考のプロセスに沿って考えれば
解決につながる。
意思決定における思考プロセスにおけるとは、ゴールに到達するた
めの体系立てられた一連のステップのことだ。つまりプロセスを分
解した構成要素がステップということになる。
自動車を作る時、原材料は規格化され、加工・組立のプロセスで
は、作業工程をステップに分け、作業員による差を減らすために、
作業を標準化・機械化する。だから高品質な車が出来上がる。
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だが、考える場合はそうはならない。情報・知識・経験が原材料に
相当するが、知識・経験は、人によって異なる。だからバラつきが
大きくなる。
続いて、インプットをもとに思考プロセスを行う。思考は、収集・
分類・整理・分析・確認のステップに分けられるが、ここでも各人
のやり方次第で、内部や構造が不明になりがちだ。
だから、モノ作りの製品に相当する結論は、各人が同じ情報を持っ
ているにもかかわらず、大きなバラつきが生じてしまう。これを避
けるには、思考作業でもプロセスの標準化を行うことだ。
ところが、思考は目に見えない。だから思考プロセスの効率化はフ
ォーカスされてこなかった。意思決定の精度と速度を上げるには、
思考作業の見える化が必要なのだ。
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意思決定における思考プロセスをステップにして見える化すること
で、何を狙いとし、どこに重きをおいたかを明らかにし、どんなリ
スクを考慮したのかを手順を踏んで考えるべきだ。
そうすれば、結論に至るまでの各人の考え方の違い、すなわち主観
性や客観性を明らかにできるはずだ。その手順とは、具体的には次
の流れだ。
まず「状況把握」だ。何が起きてるのか明らかにする。次に「目的
の明確化」だ。これにより、何のために、何を決めたいのかを明ら
かにする。
つづいて「目標の設定」だ。何を達成すれば、目的が実現するのか
明らかにする。さらに「案の作成と評価」だ。目標を実現するため
の候補案を複数挙げ、案を評価するのだ。
その上で「案のリスク予想と評価」だ。候補案を実行する際のリス
クを予測し、最終案を決めるわけだ。このプロセスとステップを踏
むこと思考作業が見える化できるはずだ。
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状況把握では、問題処理の大命題であるテーマを起点に関心事の列
挙と明確化を行い、その根拠になる関連事実を述べ、事実に基づく
解決のための方向性を課題化する。
その上で、各課題間での優先順位をつけ、そして、最後に全体の整
合性の確認を行う。処理すべき問題が高度で複雑であるほど、状況
は混とんとし、何が問題であるかが捉え難い「団子」の状態だ。
問題を団子のまま全体として一挙に解決しようとしても堂々巡りの
状態になり、思考の生産性は著しく低下してしまう。複雑な問題に
対処するには、初期段階で問題の所在を明らかにしておくべきだ。
状況を把握しなければ、効果的な方法で問題を解決はできない。情
報把握とは、直面する状況を分解し、分けて考えて正しく知ること
だ。これこそ状況把握の基本的な考え方だ。
「問題点が全部分かれば、半ば解決したのも同然だ」という。これ
は混とんとした状況が分離・分解され、明確になったことを示す。
問題を分離・分解することがいかに重要かがわかるはずだ。
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