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207回 日本語のわからない人が放送局を監督する国

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
また、高齢者が事故を起こしてワイドショーが騒ぐ。 菊間とかいうアナウンサーあがりの弁護士は、人が死んでいるのだからと加害者を責め、免許返納を迫る。 人が死んでいるからというが、高齢者でないドライバーだって、年間に2万人に一人は人を殺している。人が死ぬのが嫌なら、自家用車を禁止すべきではないのか? 一定のメリットがあるから、一定のリスクがあっても、その使用を許すのが公共というものだろう?高齢者にとって、とくに地方の高齢者にとって、車がないと食べ物も買いにいけない。遊びで車に乗っているのとは違うのだ。 さらにいうと、免許を取り上げられたら要介護になる確率が2.2倍になる。1万人のうち9999人が死亡事故を起こさないのに、このような偽善コメンテーターのおかげで要介護になり、自由に動けない暮らしを強いられたまま死ぬ。この責任は誰がとるというのか? 現実に若いやつは自分の楽しみで暴走運転をして人を殺してもニュースにならないのに、年寄りは薬害で意識障害を起こして人を殺すとマスコミに袋叩きにする。そして、事故を起こしていない人まで車に乗ったら悪いように報じる。 ついでにいうと、人が死ぬとかいうなら、毎年100人も拒食症で死んでいるのになぜやせすぎモデルを追放しないのか、毎年35000人も飲酒関連死があるのに、ビールの飲酒シーンの広告をやめないのか。こういうダブルスタンダードが本当に許せない。 そして、自分の父親に免許返納をさせたことを自慢する。 さて、この菊間とかいう弁護士は、父親が2回もてんかんの発作を起こしたので免許を返納させたとのことだ。 それまではそういう発作を起こしていなかったのに、歳をとって発作を起こしたという風にしか聞こえない。 だとするとてんかん発作かどうかはわからない。 確かに歳をとって脳が委縮してきて、溝が深くなるとこの手の脳波異常は起こしやすくなる。 ただ、それ以上に確率が高いのは、やはり薬物がらみの意識障害の発作だ。 てんかんと菊間氏は呼んでいたが、けいれんを本当に起こしていたのか、それとも意識が飛んだだけなのかはきちんとチェックしてほしい。後者であれば、薬物による意識障害の可能性のほうがてんかんよりずっと高い。 それ以上に、この菊間という人が弁護士であり(こういう事犯の担当をすることもあり得る)、テレビのコメンテーターをしながら、高齢者の意識障害やそれを引き起こす薬物について全く勉強をしようとしない態度が許せない。 ここで高齢者の意識障害の勉強をしていたら、もう少しましなコメントができるだろうことだけは間違いない。 池袋の事件でも福島の事件でも、意識障害の可能性を弁護士は探らなかったようだ。 日本は一度資格をとれば弁護士に限らず、医者でも全然勉強しなくてもその資格が保たれ、たままたその顔がいいとテレビのコメンテーターにまでなってしまう。 本当におそろしいルッキズムの国だ。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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