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第59回 いよいよ台湾が変わり始めたなか、日本が「台湾有事」を叫ぶことの不思議

富坂聰の「目からうろこの中国解説」
 昨秋の20大(中国共産党第20回全国代表大会)が閉幕した後、日本では強面・習近平が強引に台湾を取りに動くともちきりになった。多くのメディアは中台を「侵攻ありき」で報じるようにもなった。  だが筆者は、むしろ逆に習近平政権が、台湾に対して融和的なシグナルを送り続けていると伝えてきた。代表的なのは近著・『それでも習近平政権が崩壊しない4つの理由』で詳しく記した。とくに2019年から、中国に顕著に見られる変化だからだ。  この融和の流れは今月開催された全国人民代表大会の李克強総理による政府活動報告にも引き継がれた。台湾に触れた部分は淡白で素っ気ないものだった。  ではなぜいま中国はそうした選択をしたのだろうか。一言でいえば、それが「合理的」だからなのだ。  習近平には、自らの手で中国を世界一の大国にするという野心があり、その目標の実現の可能性は決して低くない。  中国を世界一にした指導者として歴史に名を残す栄誉は、台湾統一の功績にも勝るとも劣らない。それを成し遂げるためには、中台関係が静かである必要がある。つまり現状維持ならば御の字なのだ。 中国がそう考えれば、基本的に現状維持を望む台湾の人々のニーズとも合致する。

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