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高野孟のTHE JOURNAL Vol.591 2023.3.13
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1197》
俄かに沸く「ジミー・カーター」再評価/暴走し迷走し
衰弱する米国を再建するにはそこまで立ち戻るしかない
のか?
【2】《CONFAB No.557》
閑中忙話(3月5日~11日)
【3】《FLASH No.505》
岸田首相が願望するサミットの「成功」とは何なのか/
日刊ゲンダイ3月9日付「永田町の裏を読む」から転載
■■ INSIDER No.1197 23/03/13 ■■■■■■■■■■
俄かに湧く「ジミー・カーター」再評価/暴走し迷走し
衰弱する米国を再建するにはそこまで立ち戻るしかない
のか?
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このところ何故か、今から数えて7代前、1977年から
81年までの1期だけ米大統領を務めたジミー・カーター
を再評価する声が湧き上がっている。2月22日付「ニュ
ーヨーク・タイムズ」に、伝記作家で『はぐれ者/ジミ
ー・カーターの未完の大統領職』の著者であるカイ・バ
ードが「ジミー・カーターの大統領の仕事ぶりはあなた
の思っているようなものではない」と題して寄稿したの
が、たぶんきっかけだろう。すぐに、英「フィナンシャ
ル・タイムズ(FT)」の米内政担当記者エドワード・ル
ースが「カーター氏の真の功績」を書き(3月1日付日
経に翻訳あり)、さらに3月10日付「ニューヨーク・タ
イムズ」はハーバード大学のジェニファー・ボイラン教
授の「私を少しはマシな米国人にしてくれたのはジミ
ー・カーターだ」という個人的な思想遍歴に触れたエッ
セイを載せている。
今さら、一体、何のこっちゃと思うけれども、トラン
プ前大統領によって米国像、米国人像がズタズタに引き
裂かれ、最後は彼の支持者がトランプが落選した大統領
選結果を不満として議会に乱入するという暴走まで演じ
た後に、バイデン現大統領がその始末を背負い込んで迷
走を続けている中でどうこの国を建て直し衰退を少しで
も食い止めるかを考えようとすると、カーターまで時計
を巻き戻さなければならなかったーーということなのだ
ろう。
しかしカーターといえば、1980年の大統領選を争った
ロナルド・レーガンの陣営から「腰抜け」「軟弱」「史
上最低の大統領」などと罵られて落選し、そのような歴
史的評価が人々に浸透しているのではなかったか。い
や、だからこそ苦心の「再評価」が必要になる訳なの
だ。言ってみれば、ご本尊が行方知れずで信徒たちが誰
を拝めばいいのか分からなくて混乱している時に、「そ
うだ、蔵の中にあの仏像があったじゃないか」と思い出
した人がいて、早速、埃を払いピカピカに磨き上げて本
堂に安置したといった風情で、それだけ今の米国は心の
拠り所を見失っているということである。
●カーターはタフで頭脳明晰
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