ここ数日、春闘において多くの企業が、組合側から提示された賃上げ要求に対して「満額回答」を出したというニュースが出回っています。
これはつまり、少なくとも労働組合を抱えるほどの規模の大企業においては、近来まれに見る賃上げが実現することを意味しますから明るいニュースです。
もちろん、物価高の高騰率は、この春闘を経て得られる賃上げ率を平均的に上回るものですから、必ずしも、この賃上げが十分な高さだと言うことはできません。
これはしばしば「賃金の下方硬直性」と呼ばれる現象で、物価はいろんな原因で乱高下し易い一方、賃金は易々と変動せず、ゆっくりと「硬直的」にしか変化していかない、という現象です。その結果、「名目」賃金は上がっても、「実質」賃金が引き下がるという現象が生じます……。
とはいえ、「空前の賃上げ率」であることは事実で、大変望ましい話であることに代わり有りません。
こうした賃上げが実現できたのは、偏に「インフレ」の状況があるからです。
そもそも各企業は、これまでデフレが続いてきたので、どれだけ労働者側から賃上げを強く要求されても、それに応える事が「物理的に不可能」だと判断してきた一方で、今はインフレなので、応えることが「物理的に可能」だと判断するに至ったのです。
決して、会社側が「物価高で労働者があまりに不憫だと判断し、善意の下、賃上げの要求に応えてあげた」のではないのです(なんだかメディアの報道のトーンを見てるとそんな感じで報道されていますが、そんなことはありません)。
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