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vol.168:弱いつながりの強さ。アリババ、ピンドードー、バイトダンス、シャオミの創業者は弱いつながりをどう活かしたのか

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2023/03/20
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 168 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、「弱いつながりの強さ」についてご紹介します。 これは1973年に社会学者のマーク・グラノベッターが発表した「The Strength of Weak Ties」(弱いつながりの強さ)という論文の中で発表された理論です。人と人のつながり方を観察すると、頻繁に会い、情報交換が濃密な強いつながりが重要であることは言うまでもなく、会う回数が少なく情報交換が密ではない弱いつながりも重要であるということがわかったというものです。特にイノベーションなど新奇性のある情報を得るのに有効だということがわかりました。 この理論がSNS時代になって再評価されています。SNSが普及した現代では、大量の弱いつながりをつくることが可能だからです。 ただし、世間ではこの「弱いつながりの強さ」理論は少し誤解をされていて、濃密なつながりよりもSNSの距離を置いたつながりの方が優れているとか、SNSでたくさんの人と友だちになるのがいいとか、少しずれた考え方も散見されます。 そこで今回は、この「弱いつながりの強さ」がどんなものであるかを簡単にご紹介し、さらに中国の起業家たち=ジャック・マー(アリババ)、黄ジャン(ピンドードー)、張一鳴(バイトダンス)、雷軍(シャオミ)がどのように弱いつながりで人生を切り開いてきたかをご紹介します。 今回は、弱いつながりの強さについてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 168 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ 弱いつながりの強さ。アリババ、ピンドードー、バイトダンス、シャオミの創業者は弱いつながりをどう活かしたのか 小米物語その87 今週の「中華IT最新事情」 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 弱いつながりの強さ。 アリババ、ピンドードー、バイトダンス、シャオミの創業者は弱いつながりをどう活かしたのか ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、「弱いつながりの強さ」についてご紹介します。 「弱いつながりの強さ理論」という言葉を一度はお聞きになったことがあるかと思います。1973年に社会学者のマーク・グラノベッターが「The Strength of Weak Ties」という論文で発表した理論です。簡単に言えば、「有用な情報は強いつながりよりも弱いつながりからもたらされる」というもので、古い理論でありながら、SNS時代を迎えると、SNSでのつながりがいかに重要なのかということを論じるときにたびたび引き合いに出される考え方です。 グラノベッターは、米ボストン在住のホワイトカラー282人を対象に、就職先、転職先を見つけるのに役に立った情報をどのような人から得たのかを調査しました。すると16.7%の人は会う頻度が高い、つまり強いつながりの人から得ていました。一方、83.4%の人はあまり会うことがない、つまり弱いつながりの人から得ていました。また、この弱いつながりから得た情報に基づいて就職した人の方が、その後の満足度も大きいことがわかりました。 これはなんとなく生活実感とも符合します。強い結びつきとは頻繁に会う人のことで、具体的には家族や同僚が一般的です。そういう人に「どこかいい転職先ないかな?」と尋ねても、あがってくるのはよく知っている企業の名前ばかりになります。どうしても同じ業界内の企業の名前があがってくることになりがちです。 しかし、会う回数の少ない友人やSNS上での知人に尋ねると、「業界はまったく違うけど、こういう人材を募集している。あなたに合うかもよ」という意外な企業を紹介してくれるかもしれません。 もちろん、実際にアプローチをして面接を経ないとなんとも言えませんが、ひょっとしたら、自分では普通だと思っているスキルが、異なる業界では非常に高く評価をされ、まったく異なる業界で新鮮な気持ちで働けるということになるかもしれません。 つまり、いつも同じメンツで固まっていても、有用な情報はもたらされず、SNSなどの弱い結びつきから有用な情報は入ってくるのだという理論です。 しかし、この「弱い結びつきの強さ」理論は、SNS時代になって少し誤解をされているようです。それは「強い結びつきよりも、弱い結びつきが重要」だと考え、濃い付き合いをしないようにして、すべてSNSでつながろうとするような誤解です。あるいは社内で「飲み会や社員旅行はやめて、社内SNSだけでつながるようにしよう」という誤解もあります。 この理論は、結びつきを弱くした方がいいという話ではなく、従来軽視されていた弱い結びつきが実は大きな働きをすることがあるという話です。つまり、強い結びつきは強い結びつきとして重要で、同様に弱い結びつきも重要だという話です。

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