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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 169
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、アリババの業績についてご紹介します。
アリババにとっての2022年は、創業以来の最悪の年となりました。第1四半期、第3四半期と2回も赤字になってしまったのです。2021年3月期に、独占禁止法違反で180億元という巨額の罰金を課せられて赤字転落をしたことを除けば、創業以来初の事態です。
アリババは営業収入の7割が中国小売(EC+新小売)であり、その中核であるEC「淘宝網」(タオバオ)と「天猫」(Tmall)が成長の限界を迎えています。一方、これに代わる次の中核事業がまだまだ収益力がついていません。そのため、何もなければ以前と同じように巨額の売上をあげ、膨大な利益を生み出すことができますが、ちょっとした外部要因により赤字になってしまうという脆弱な体質になっています。
そこで、今回はアリババの四半期報告書を読みながら、次の中核事業がどこまで育ってきているのかを考えます。アリババの四半期報告書の読み方についても解説していますので、今日のある方は、ご自身でも四半期報告書や年度報告書を読んでみてください。
今回は、アリババの四半期報告書についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 169
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▼目次▼
赤字転落をしたアリババ。事業の展望はどこにあるのか。アリババ四半期報告書を読む
小米物語その88
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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赤字転落をしたアリババ。事業の展望はどこにあるのか。
アリババ四半期報告書を読む
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今回は、アリババの四半期報告書についてご紹介します。
アリババの調子が明らかにおかしくなっています。2021年3月、アリババは独占禁止法違反などで180億元(約3500億円)の罰金を課せられ、四半期ベースで上場以来初の赤字となりました。これは突発的な事態であるため、例外と考えてもいいかもしれません。しかし、2022年は絶不調です。3月期、9月期と2回も赤字となりました。
アリババによると、投資をしている企業の株価が下がったための影響だと説明していますが、事業別の業績を見ても苦しい状況であることがわかります。アリババの売上の7割はコア事業である国内小売(EC+新小売)です。しかし、その伸びが止まっています。その他に、海外事業やクラウド、エンターテイメントなどの事業もあり、それぞれ成長はしているものの、コア事業の売上が大きすぎて、焼石に水の状況になっています。
さらに、コア事業も京東(ジンドン)という古くからのライバルだけでなく、ソーシャルECの「ピンドードー」、種草系の「抖音」(ドウイン)、「快手」(クワイショウ)、「小紅書」(シャオホンシュー)などの包囲網に圧力を受け続けています。このあたりの事情は、「vol.124:追い詰められるアリババ。ピンドードー、小紅書、抖音、快手がつくるアリババ包囲網」でもご紹介をしました。
また、「vol.150:勢いのある種草ECに対抗するタオバオ。電子透かしを活用したユニークな独自手法を確立」では、アリババがどのような対抗手段をとっているのかもご紹介しました。
しかし、アリババの最重要プラットフォームである「淘宝網」(タオバオ)のアクセス数が減少をしているという報道が相次いでいます。後ほど説明しますが、明らかにアリババのような流量(トラフィック)を集めて販売をするタイプのECから、抖音のような占有時間を長くして販売をするタイプのECに世の中が動き始めています。つまり、一言で言えば、オンラインにバーチャルな商品棚を用意して購入するタイプのECが時代遅れになりつつあるのです。時代の転換点を迎えていると言っていいかと思います。
そこで、今回は、アリババの四半期報告書から、アリババの事業の現状をまとめてみたいと思います。
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