【劇的な出逢いと別れ】
「はーい、みっちゃんいらっしゃい」
相変わらずマイケルの店は繁盛していた。
「みっちゃんさん、かんぱーい」
「あいり、元気?」
隣には美容師の卵で可愛い女の子がいた。
マイケルの店の常連である。
美容師の見習いなので給料はめっちゃ安いがやりがいがあると言っていた。
会うたびに髪型も色も変わっていた。
美容師は自分が広告塔なので常にオシャレを心がけないといけないので、安い給料で何とかやりくりをしながら、唯一マイケルのお店でストレスを発散しているのである。
とても気さくでいい子だが、マイケルに夢中でみつおに目をくれることはなかった。
しかし、スナックに行くのとは違い、安くで女の子と話せるのはラッキーだと思っていた。
「みっちゃん、実は今月でこの店も終わりだからさ、次の店が決まったら連絡するよ」
「えっ?辞めるの?」
「違うよ、オーナーが店を閉めるみたい」
「えっ?こんなに儲かってるのに?」
実はそこはミュージックバーが入るようなテナントビルではなく、通常の事務所とかがあるビルだったので、苦情が相次いだらしく、追い出されるような形で閉店するとのことだった。
そのビルの4Fには、有名なオカルト宗教の事務所もあって、場違いなのは間違いなかった。
「えっ?じゃどうするの?」
「みっちゃん、大丈夫、今度は他のオーナーが俺のために店をオープンしてくれることになったよ」
マイケルのファンは年齢層が幅広く、女性経営者からも人気だったので、マイケルの話を聞いて、自分の店を作ってマイケルにDJをしてもらう事で自分が楽しむのが目的だった。
だから、マイケルが全てを任されて、月々売り上げの何%かだけを払えばいいとの事だった。
「いつオープンするの?」
「二ヶ月後かな、一ヶ月は遊ぶことになるけど、その間に自分のレコードの整理とか、新しいレコード探しとかやっとくよ」
そうなのである。
マイケルは自前のレコードでDJをしていたのである。
昔からレコードを買うのが好きだったので、今では三千枚のレコードを店に持ち込んでいるとのことだった。
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