今回は、新作英語論文「チェザルピーノの鉱物学:気象論とキミアのはざまで」の邦訳版の後編をお届けします。紙幅の関係から第4節の途中で中編は終わらせましたが、その続きからという変則的なスタートとなります。ご容赦ください。
4. 金属とその種子としての硫黄(つづき)
彼のキミアについての主要な源泉であるアルベルトゥスの著作におもに見出されるキミア的な学説を批判したのち、チェザルピーノは彼自身の考えを披露する。彼によれば、アリストテレスが『気象論』第3巻第6章の末尾で示した唯一の解決法しか存在しないのだ。アリストテレスはいう:
「これらすべての金属は湿った蒸散気が地下に、とくに石類のあいだで閉じこめられることで生まれる。石類の乾が蒸散気を凝縮し、蒸散気が分離したときに露や雪のように凝結する。しかしいまの話では、この分離が起こる前に金属が生成されるのだ。」
チェザルピーノは、彼の同時代人たちがこの決定的な一節の真の意味を十分に理解していないと嘆く。彼によれば、湿った蒸散気は地中に閉じこめられ、とくに石類のあいだでは、石類の乾が蒸散気の凝結を手助けする。この乾はこれらの石類から、あるいは湿った蒸散気と一緒に閉じこめられた乾いた蒸散気に由来する。
石類は乾いた蒸散気から生成するのであり、潜在的に同様な本性を共有する。乾いた蒸散気や石類との接触で、湿った蒸散気は凝結しひとつの塊へと凝固する。この図式は気圏における露や雪の生成を説明する。チェザルピーノは、同様の考えを金属の形成にも応用するのだ:
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