「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」
vol.46「将棋のレジェンドに学ぶ、「プロ意識」の境地とは?」
【今週の目次】
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1. 成美のつぶやき
└ 日本のお風呂文化を継承する
└ 「湯の道」3つの精神
2. 将棋のレジェンドに学ぶ、「プロ意識」の境地とは?
└ 「AI超え」の異名を持つ藤井聡太
└ 将棋界の生きたレジェンド・羽生善治
└ 32歳の年齢差がある史上最強の二人の大決戦
└ 「稀代の天才棋士」と呼ばれた羽生善治の将棋との出会い
└ 史上3人目の中学生プロ棋士が心に決めた覚悟
└ 大きな転換点は「一手詰みの頓死」での敗戦
└ この先30年余り続くまだ見ぬ道に心を躍らせる
3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ
4. お知らせ
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1. 成美のつぶやき
日本のお風呂文化を継承する
みなさま、こんにちは。
先日、放送作家・脚本家・プロデューサーとして活躍する小山薫堂さんのオフィスを訪ねました。小山さんが原案・脚本を手がけ、2023年2月23日に公開になった映画『湯道』のお話を伺ったのです。
参考:公式サイト
小山さんは、大のお風呂好きで、アイディアをお風呂の中で考える習慣があり、大ヒットのヒントも朝の長風呂で閃くことが多いのだそうです。
「お風呂は、人を幸福にしますよね。温かい湯を張った湯船に浸かる幸せは、日本人の大切な文化。その文化を未来に残したいし、日本以外の方々へも伝えたいと思って、この映画を作りました」
お湯に「道」をつけて湯道。
湯の道を作りたい、と考えたのは、小山さんが経営を引き継いだ京都の老舗料亭「下鴨茶寮」で度々触れることになった茶道がきっかけだったそうです。
茶の間で飲み継がれるお茶には、作法や場所、機会が用いられ、「茶道」という文化・芸術になりました。
「お茶のように日本人の日常にあるお風呂も『道』にしたいと思いました。単なる体を洗い、温まるという行為でなく、お風呂という文化にこそ価値があると思たんです」
早速「湯道」を立ち上げた小山さんは、初代「家元」となり、一般社団法人湯道文化振興会を立ち上げます。全国の名湯を自ら巡り、2018年からは雑誌「Pen」で「湯道百選」シリーズとして紹介してきたのです。
「湯の道」3つの精神
この「湯の道」には、3つの精神があるそうです。
●温かい湯に浸かれることに「感謝の念を抱く」
●湯に関わる人すべてに「慮る心を培う」
●湯に浸かることで「自己を磨く」
この精神を広めるためにも、エンターテイメントの最高峰にある映画は必然でした。アメリカのアカデミー賞、外国語映画賞を2008年に受賞した『おくりびと』の脚本を手掛けた小山さんは、『湯道』の映画化にあたり、伊丹十三監督の映画『タンポポ』をお手本にしたのだそうです。
『タンポポ』は、女手一つで切り盛りする寂れたラーメン店を復活させる物語ですが、『湯道』の舞台も地方の寂れた銭湯。
銭湯を経営する父親の死を発端に、息子たちや看板娘、常連客たちが織りなすヒューマンコメディは、お風呂好きには応えられない内容です。
日本は今、空前のサウナブームですが、実は私は銭湯のお風呂の方が好きです。
毎日、お風呂に入るたび、家元が唱えた「感謝の念を抱く」「慮る心を培う」「自己を磨く」を思っています。
『湯道』をぜひご覧になり、日本の風呂文化の継承者の1人に名乗りをあげてください(笑)。
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