「バンクデミック」登場
止まらない海外拡大志向
自ら世界金融不安の渦中
最大の所得収支赤字国へ
中国は、習近平氏が国家主席に就任以来、「強国路線」を歩んできた。対外的には、一帯一路政策によって、中国の政治的・経済的な影響力を一気に拡大するという路線だ。この裏には、膨大な資金投入を必要とした。IMF(国際通貨基金)や世界銀行という国際機関は、発展途上国向け融資では、厳しい条件がつく。中国の「一帯一路」は、融資の金利は高いものの簡単に融資し、中国企業に建設を担わせる方式を取ってきた。
これが今、世界的金融不安の中で、不良債権化の恐れが強まっている。100%回収できなければ、中国の負担になって跳ね返るのだ。中国の復旦大学グリーン金融開発センターの「2022一帯一路投資報告書」によると、中国は2013年から22年までに、一帯一路事業に総額9620億ドルも投じた。
一方、2008年から21年にかけて発展途上国22カ国に総額2400億ドルの救済資金支援を行ったことが、3月28日に公表された世界銀行などのリポートで明らかになった。「一帯一路」のインフラ建設に充てた融資の返済に苦しむ国が増えたためで近年、救済支援金額が急増している。
救援支援融資の2400億ドルが、一帯一路事業の総額9620億ドルに含まれているのかどうかは不明である。仮に別とすれば、中国は一帯一路で実に1兆2020億ドルもの融資をしたことになる。インフラ投資であるから、長期返済のはずだ。この膨大な融資の返済が滞れば、中国経済にとって重大な事態になろう。
「バンクデミック」登場
冒頭から、中国が一帯一路事業で金融面から大きな障害に直面している現実を取り上げた。さらに、ここへ来て事態を悪化させる世界的な金融不安が生まれている。米国から始まった銀行危機の恐怖が、スイスを経て、ドイツ最大手の投資銀行であるドイツ銀行まで襲ってきたのだ。ドイツの首相まで乗り出し、問題はないと鎮火に乗り出したほどである。
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