【夜の世界からの卒業】
「空いてる時間で周るだけでいいよ、仕事が決まったら10%のマージンがもらえる」
友達が誘ってきたのは、ネットワークビジネスではなく、リフォーム会社の営業の話だった。
沖縄はほとんどが鉄筋コンクリートの家なので、20年を過ぎると外壁がボロボロになり、ペンキ塗り替えをするのだが、コンクリートの中の鉄筋がサビて膨張するとコンクリートが割れるのである。
だから、ペンキ塗り替えをする前に外壁の補修をするのである。
その仕事は2階建だと、200〜300万円の相場である。
その10%というと、20〜30万円になる。
中々難しいのは分かっているが、昼間の空いている時間でまわって、1件でも決まれば、かなりの利潤になる。
「じゃ、明日昼の2時に首里城の前で待ち合わせな」
「オッケー、じゃ明日な」
そして次の日から、営業の研修が始まった。
研修といっても、その友達が訪問して話すのを後ろから聞いて覚えるだけで、2、3軒まわった後、ファイルを持たされて実際に訪問するだけだった。
「こちらが安仁屋さんだよ、興味がありそうな人がいたら安仁屋さんに連絡したら、見積もりをしてくれるから」
「初めまして、よろしくお願いします」
「うん、ま、気長に頑張ってね、後のことは一切考えないでいいから、興味ありそうな人がいたら連絡ちょうだい」
「はい、分かりました」
探すのは、古い家である。
昔からある集落ではほとんどが古い家なので、ほぼ軒並みに飛び込み訪問するのだった。
もちろん、見積もりとかはできないので興味がありそうな人がいたら、安仁屋さんに電話するだけだった。
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