FRBの利上げと量的緩和並行の矛盾を解く
3月の中旬になって、米国ではシリコンバレー銀行など中堅銀行3行が突然破綻し、金融不安が広がりました。折しも欧州では大手のクレディスイスが経営破綻したために、一気に不安が広がり、金融当局も不安を軽減するために流動性の供給を余儀なくされました。
FRBはインフレ抑制の金融引き締めにより、自らの資産を昨年のピーク9兆ドルから8.3兆ドルまで縮小していましたが、この3月以降、改めて流動性供給のために資産を拡大、また8.7兆ドルまで拡大しました。市場は政策金利の引き上げと量的緩和の再開を同時に進める「矛盾」を指摘、インフレ抑制効果がそれだけ遅れると見るようになりました。
しかし、金融不安対応の流動性供給は、量的緩和のように見えて、景気刺激効果は期待できません。長期国債の金利低下はもたらしても、政策金利自体は高く、逆イールドを強めるほか、クレジットの悪化は止められません。従って資金繰り倒産は回避しても、全体としては景気悪化につながりやすく、少なくともインフレ促進的ではありません。
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