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ビジネス知識源プレミアム(水曜刊:660円/月:税込):Vol.1326
<Vol.1326号:複雑な情勢を生む単純な事実は、
マネーサプライの変化(1:前編)>
2023年4月5日:マネーサプライの減少と金融・経済
本稿では、金融危機という複雑系の現象の底にある単純な事実、
米国マネーサプライ(M2)の減少という事実を、取り上げます。
タイタニック号が進んでいる厚い霧のなかで、2年、3年の見通しがつくでしょう。
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著者:システムズリサーチ:吉田繁治
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タイにお住まいの方から「SMBCプレスティア銀行(旧シティバンク)からのタイ・バーツ預金引き出しに、金額の制限がついた。米国の銀行危機がここまで浸透したのか?」という主旨のメールがありました。
大切な現象ですが、銀行は、機能に都合の悪いことが起こっても、顧客に理由を示さないことが多い。SMBCプレスティア銀行は、シティバンクを継承したグローバル銀行です。SMBCという名のとおり、SMBCグループの信託銀行。
メールで送った回答を、若干の説明を加えて、転載します。
<「FRBの利上げと、国債売り(=銀行の当座預金の減少)により、世界的にドル不足が起こっています。
貿易額が大きいタイでは、輸出入に使う外貨準備(ドル)の不足になります。タイ中央銀行はたぶん「ドル買い/バーツ売り」を行って、自国の外貨準備の不足を埋めています。
ドルが不足すると、対外負債の返済・利払いと、輸入に支障をきたすからです。タイもドルで借りた対外債務がGDPの36%と多い。ドル建て債務の大きさは、新興国に共通します。ドルの金利が上がると、対外債務の利払いが増えて新興国を苦しめるのです。
米国は、日本と中国から借りる一方、そのマネーがウォール街に集まり、高い金利がとれる新興国に投資しています。ドルを武器にしてウォール街が世界金融のハブ空港になっているのです(ドル基軸通貨体制)。
「ドル買い/バーツ売り」のため、中央銀行が通貨を増発しないかぎり、タイ銀行のバーツが減ることになるので、窓口で得引き出し制限をしているのでしょう。世界の金融は、ドルで一本につながっています。
タイの輸出入は、GDPの約50%です。日本は18%です。タイは、日本より、約3倍深く、基軸通貨のドルに組み込まれた経済です。貿易主導の東南アジア経済に共通しています。(説明をつけた、メール回答の終わり)>
23年3月の、米国の、1)銀行危機と、2)預金流出は、世界に影響を及ぼしています。
「アマゾンの蝶の羽ばたきが、上昇気流に合体し、創発的にポジティブフィードバックで発達し、マイアミのハリケーンになる」。
複雑系をシンボリックに表現する、有名な比喩です。世界金融は、最高度に複雑系です。
◎世界金融の危機の、大元の原因は、2022年3月からの米国のM2(マネーサプライ)の減少です。M2は、企業と世帯の総預金であり銀行の負債です。
【2019年からの新型コロナ】
世界に、未経験の恐怖を与えたコロナによる経済停止への対策として、FRBは4兆ドル(520兆円)を増刷しました。
最初、どうすればいいか、政府にも分からなかった。匹敵するのは大戦争しかなかった。しかし敵は見えなかった。人々の気分が落ち着いたのはワクチン開発のあとでした。
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