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【痛くない死に方 2023年第14号】坂本龍一さんの死に想う。「もう逝かせてくれ」と言われたら…。

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2023/04/08
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2023年 第14号 【長尾和宏の痛くない死に方】 長尾和宏です。 あっという間に桜が散ってしまいました。季節がめぐるのは早いですね。 コロナ前までは長尾クリニックは患者さんとそのご家族と毎年お花見を楽しんでいました。 最後のお花見は、2019年の4月。僕はブログで、こんなことを書いた。 2019年4月7日の僕のブログから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今日は、平成最後の在宅患者さんとの花見の会だった。気温も上がり桜もほぼ満開で、過去 最高の会になった。10数年続けているが、令和になってもまたやりたい。 22名のスタッフと数十人の在宅患者さんのお花見会。 歌、踊り、体操、ミュージックケアに続き長尾の歌。すべてが最高のコンデイションだった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 最後のお花見は、平成さいごの春。 在宅患者さんたちは、皆、このお花見を楽しみにしていた。全員マスクなしの集合写真が もう遠い昔に見える。2020年の桜、2021年の桜、2022年の桜、そして2023 年の桜も、患者さんと愛でることができていない。残念である。 そういえば、今日4月8日は「花まつり」だ。正しくは、灌仏会(かんぶつえ)という。 お釈迦様の誕生日である。日本は仏教の国だったはずなのに、花まつりを意識する人は、 ほとんどいなくて、老いも若きもクリスマスを祝う不思議な国である。 まあ、ケーキを食べる日ではないから仕方がないか。 正しい花まつりの過ごし方。それは、お釈迦様の仏像のあるお寺に行って、その仏像に、 「甘茶」をかけること。これは、お釈迦様が生まれたときに竜が空から降りてきて、お釈迦 様に香湯を注いだという伝説から来ているという。 香湯を注がれた、生まれたばかりのお釈迦様は、自ら7歩ほど歩いて、右手で天を指して、 左手で地を指して、「天上天下唯我独尊」と仰ったというのは有名な話。 「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」。 この言葉のほんとうの意味、知っていますか? 多くの人は、この言葉を「俺がこの世で一番偉いんだぜ」という意味だと思っているかもね。 実は僕も以前はそう思っていました。「あの先生は、天上天下唯我独尊なところがある」 なんて、厭味を言うときに使っていた。 しかしそれは間違いだって知った。この場合の我は、英語で言う「I」ではなく「We」 である。本当の意味は、 「人はみな、平等に尊い存在であり、上も下もない」。 さらにお釈迦様は、「天上天下唯我独尊」のあとに、実はこう続けて言ったという。 「三界皆苦吾当安此(さんがいかいくごとうあんし)」 ここでいう三界とは、 欲界:「欲望だけの世界」色界:「芸術の世界」無色界:「哲学・思想の世界」のことだ。 欲界から無色界へとたどり着くことこそが、人間の成長であるようにも思うのだが、 お釈迦様はこの三つの世界すべて、三界皆苦:「苦しみの世界である」と言っている。 そしてその後の「吾」こそが「I」の意味で、お釈迦様自身のことだ。 つまり、

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  • 長尾和宏の「痛くない死に方」
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