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喘息の治療パート3その2

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室186.2023.4.9. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、 出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 喘息の治療パート3その2  生物学的製剤とは、バイオテクノロジーを用いて精製された高分子のタンパク質で、経口投与はできず、注射で用いられます。色々な分野で開発が進んでいますが、呼吸器領域では喘息の分野で先行しました。  現在、日本の国の政策で、高騰する薬価を抑えるため、後発品の使用が推奨されていますが、生物学的製剤は、厳密な意味で後発品を作ることはできません。完全に同一のタンパク質を作ることが難しいためです。そのため、生物学的製剤の後発品は「バイオシミラー」と呼ばれ、先行する生物学的製剤とほぼ同等の活性を持つ薬剤が臨床試験を経て認可されてます。単に薬剤の後発品を作るより難しく、そのための投資もかさむため、ある一定の年月が経った生物学的製剤全てに「バイオシミラー」があるかと言うと、そう言うわけではなく、現在上市されている喘息の生物学的製剤にはまだ「バイオシミラー」医薬品がでていません。  喘息に限らず、生物学的製剤はかなり効果的で、人生を変える位の効果があることも多いですが、高額な医薬品であることが弱点です。例えば、喘息の生物学的製剤の場合、薬剤にもよりますが、月薬価は15万位になってしまいます。3割負担の方ですと、1月5万円近いお金がかかることが多く、患者さんが使用を躊躇する理由になっています。ただし、高額療養費にかかわる医療制度を用いると、収入にもよりますが、かなり負担が軽減されるので、使用したい方は、一度病院などで相談してみると良いかもしれません。  私も実は生物学的製剤を使用していますが、(喘息、アトピー性皮膚炎のため)3か月処方してもらってますので、3か月で5万円の負担金額となっています。(地方公務員なので自己負担の上限は月5万円のようです)この制度は企業や勤め先によっても違っており、一部企業では自己負担なしになるところもあります。高額な薬剤ですので、軽症の喘息の方に用いることはできません。現在のところ、保険適応は、しっかりと吸入治療しても効果がない喘息患者さんに限られています。  気管支喘息の生物学的製剤の本来の目的は、ステロイド使用しなければいけないような喘息の増悪や救急受診を抑制することと、内服しているステロイドを減量することの2つですが、実際使用してみると、それだけでなく、低下した呼吸機能が改善したり、普段の自覚症状も改善することも多く、本当に喘息患者さんの人生を変えるかもしれないと思うことがあります。  さて、年度も変わり、新しいスタートを切った方も多いと思います。私も今週から、トレーニングを再開し、毎朝8km程度ジョギングを再開しました。再開してみると、完全に遅いペースでしか走れなく(歩けなく)なっており、以前は1km 7分台で大丈夫だったわけですが、再開してみると、1分は余分にかかってしまっております。今年の松阪マラソンに向けて、頑張りたいと思います。次回からは、喘息の話は一旦終了にして、違うお話をさせていただきたいと思います。 ***************************** ドクター畑地の診察室186.2023.4.9号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2023.4.16.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2023年03月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2023/03 2023/03/26 ちょっと休憩 2023/03/19 喘息治療の変遷 パート5 2023/03/12 喘息治療の変遷 パート4 2023/03/05 喘息治療の変遷 パート3 ◆2023年02月

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