━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々木俊尚の未来地図レポート 2023.4.10 Vol.750
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.pressa.jp/
【今週のコンテンツ】
特集
コミュ力に必要なのは高スキルではなく、ぶきっちょな愛情だ
〜〜〜人の話を引き出すためには、信頼され安心してもらうこと
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■特集
コミュ力に必要なのは高スキルではなく、ぶきっちょな愛情だ
〜〜〜人の話を引き出すためには、信頼され安心してもらうこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コミュニケーションのスキル、すなわち「コミュ力」というと、なんとなく「立て板に水のようにしゃべり正確に相手にメッセージを伝達するスキル」というようなイメージがあります。
「コミュ力」でグーグル検索してみると、ノウハウを教える膨大な数のページがヒットします。
★めざせコミュ力おばけ!コミュ力を上げる3ステップ
https://www.mottainaihonpo.com/kaitori/contents/cat07/074-communication-skills.html
たとえばわたしの検索結果でトップに来たこのページを見てみると、コミュ力が高い人の特徴として「いつも笑顔で楽しそう」「リアクションが大きい」「フットワークが軽い」「とにかくマメ(レスポンスが早い)」。逆にコミュ力が低い人は、「自己主張が苦手」「他人に興味がない」「表情をあまり顔に出さない」など。
そしてコミュ力を上げるステップとして、「元気よく挨拶する」「目や顔をしっかり見て話す」「ニコニコして対応する」「ハキハキと話す」などが挙げられています。これらを読んだだけで「自分にはもう無理……」となる人は多いのではないでしょうか。
とはいえこの記事にも良いことが書いてあって、たとえば「コミュ力=話す力ではない」という指摘。
「円滑なコミュニケーションに必要なのは、実は「聞く力」。相手が満足するような会話をすることを目的に置くこと。これが対人コミュニケーションにおいて、とても大切だということも覚えておきましょう」
これはその通りだと思います。コミュニケーションは片方向ではなく双方向なので、コミュ力に必要なのは「話す」と「聴く」の両方のスキルなのです。
立て板に水で弾丸のようにしゃべるけれども、相手の話をいっさい聴いていない、あるいは相手にまったく興味が無い人とかは時々見かけます。わたしの個人的体験でいうと、しばらく前にイベントで対談した著名なクリエイターの女性がそうでした。ひたすら自分の話と、自分がいかに有名人と知り合いかということを滔々と話し、わたしやわたしの話しに関心を向けることは最後までありませんでした。
わたしは元新聞記者のジャーナリストなので、インタビューして人の話を引き出すのには慣れています。なのでこのイベントのときも「これは対談にはならないな……」と諦め、途中からはひたすら聞き役に徹していました。それで問題はなかったのですが、はっきり言ってそれは対談ではないし、個人的にもあまり楽しい時間ではありませんでした。
この人のしゃべりは実に立て板に水でしたが、まったく「聴く力」が存在していなかったということでコミュニケーション力の欠落といえるでしょう。コミュ力には「話す力」「聴く力」の両方が大事なのです。
かといって、先のウェブ記事にあるような「元気よく挨拶する」「ニコニコして対応する」「ハキハキと話す」といったイケイケ系のスキルがコミュ力には絶対必要なのでしょうか?
先ほどの記事以外にも、「コミュ力」をウェブの辞書で引くと「人との会話や意思疎通などを円滑に行うことができる能力やその程度などを意味する語」などと説明されています。「円滑に」が大事なポイントのように思えますが、やはり円滑さは大事なのでしょうか?
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)