メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【Vol.477】冷泉彰彦のプリンストン通信『トランプ裁判の行方は?』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「ChatGPTに無条件降伏、岸田総理は文明を売り渡すのか?」  今話題になっている、AI(人工知能)による対話型チャットポッド、 「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米シリコンバレーのベンチャー 「Open AI」社のサム・アルトマンCEOが来日。4月10日に首相官邸で岸田 総理と面会したほか、自民党本部なども訪れたようです。  岸田総理との会談はおよそ20分だったそうで、報道によりますと、アルト マン氏は、日本のマーケットを重視しているという意向を伝えたうえで、 ChatPTの活用方法やルール整備のあり方などをめぐって総理と意見交換した ようです。  ちなみに、その中身ですが、塩崎恭久衆議院議員(元官房長官)のツイート によれば、自民党本部への訪問は、単なる表敬ではなく、アルトマン氏は自民 党の「AIの進化と実装に関するPT」に出席して、以下の7点の提案をした そうです。 (1)日本関連のデータ学習(収集)のウェイト(優先順位)引き上げ (2)政府の公開データなどの分析提供等 (3)LLM(大規模言語データ)を用いた学習方法や留意点等についてのノ ウハウ共有 (4)GPT-4の画像解析などの先行機能の提供 (5)機密や独自ノウハウに関するデータの国内保全のため仕組みの検討 (6)日本におけるOpenAI社のプレゼンス強化 (7)日本の若い研究者や学生などへの研修・教育提供  勿論、これは一つの私企業が、日本に対して売り込みをしているだけで、別 に国策として決めたわけでも何でもないのですが、どうもイヤなムードを感じ ます。  実は、現時点では、日本語におけるChatGPTのサービスの精度はまだまだ 高くはありません。ほぼ実用段階に達している英語とは雲泥の差があるわけで す。ですが、仮にChatGPTなどAIによる日本語の大規模な言語データの蓄積 が進めば、日本語に関しても対話型のサービスはやがて実用化される時期が来 るでしょう。そうなれば、日本語による知的活動のかなりの部分が影響を受け ることになります。  ですが、ChatGPTを展開するOpen Ai社はアメリカの企業です。日本語の 巨大な言語データにおける微妙な部分(政治的なもの、高度なもの、日本独自 のものなど)のデータについては、海底ケーブルを通じてアクセスするのでは なく、日本国内のサーバを置いたほうがいいなどと提案しているようですが、 それでも外国企業のマネジメント下になるのは間違いありません。  OpenAiだけでなく、そしてこれと提携したりライバルになろうとしている GAFAM などの勢力も、現時点では全てが欧米勢です。そうなれば、日本社会 の活動の多くの部分、それこそ知的活動の多くがが外国勢力によってコントロ ールされることになってしまいます。(続く)

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日