ズタズタ状態の中国経済
外交へ熱入れる習の思惑
高学歴者の25%ルール
米国へ逃避する中国企業
習近平氏は、異例の国家主席3期目を迎えた。中国共産党の中央政治局常務委員は、全員が習氏側近という典型的な「側近政治」である。習氏と同じ意見でないグループは、すべて排除された。とりわけ、前国家主席の胡錦濤氏や前首相の李克強氏が所属した中国共産主義青年団(共青団)出身幹部は全員、ポストを追われた。共青団は、21年末で7371万人の団員を擁するエリート集団とされる。全国の地方政府などに配属されているのだ。
習氏にとっては一見、今回の側近政治が習氏の政治的勝利に帰したかのごとき印象を与えている。だが、決してそんな安易なものではない。矛盾の種を持ち込んだと言える。なぜなら、これからの中国経済が安泰な道でなく、険しい矛盾に満ちた過程を歩まざるを得ないからだ。習氏の唱える「米国衰退・中国繁栄」は、逆になることが不可避な情勢である。
「米国衰退・中国繁栄」論は、科学的な根拠を無視した点で一種の「謀略論」である。「謀略論」とは、偏見や不十分な証拠によるもの。科学者や歴史家など、その正確性を評価する資格のある人々が承認する見解に反するのだ。科学を無視したイデオロギーである。
習氏へ「米国衰退・中国繁栄」論を吹き込んだ人物は、党内序列4位へ昇進した王滬寧(政協主席)である。王氏は、習氏以上の国粋主義者であり、「わが国は中華民族の偉大な復興を実現するカギとなる時期にある」と演説している。この王氏は、共青団という市場主義を理解するグループと「水と油」の関係だ。根っからの「米国排撃主義者」である。習氏は、この王氏の見解を受け入れ、共青団を切り捨てた。
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