政策を支配する陰の力
経済政策は誰の利益を考えて行われるのか。多くの国民は国民の利益のためと考え、あるいは期待しています。しかし、昨今の金融機関救済劇や、わが国でのアベノミクスやそのもとでの物価安定目標の運営を見ていると、明らかに国民の利益に反することが平然となされています。国民よりももっと大きな力が、為政者の背後で動いているようです。
「AT1債保有者より株主を救済」
経営危機にあったスイスの大手銀行、クレディスイスを政府の支援を得てUBSに救済合併させることになりました。その際、クレディスイスの株主は保護される形となりましたが、政府はクレディスイスの劣後債の1種であるAT1債の保有者は保護しないとし、この債券を無価値化しました。
これで市場は混乱しました。ほかの優先債券に比べれば償還の順位は劣後するものの、その分資本に組み入れできるメリットがあり、当然株式よりも優先的に保護されると信じ、それで投資家は購入していた面があります。ところが、クレディスイスの株式は保護する一方でAT1債は無価値にされました。
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