第258号(2023年4月14日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
新年度・新学年を皆さんはどう迎えられたでしょうか?
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
今週も【Win-Winを真に叶える方法】についてお話しします。
先週号では、【Stay in the zone (千載一遇のチャンスに焦点を当てる】についてお話しいたしました。
自分が準備してきた内容やスキルを存分に発揮するためには、
交渉や話し合いにおいて“ここぞという瞬間”を掴まなくてはなりません。
でも、そのような機会が来ても、それに気づくことが出来なくなる障壁として
『過去に囚われる(悪い記憶に苛まれる)』というものが存在します。
今週号では【いかにして過去・悪い記憶から逃れて、千載一遇のチャンスをつかむことが出来るか】についてお話しします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週も盛りだくさんな一週間でした。
そしてアメリカ政府にとってはあまりハッピーな内容とは言えない事態が立て続けに起きました。
一つ目は、先週号で取り上げた【欧米分断の兆候?!‐欧州首脳の中国詣で】の続報です。
先週、3日間に及ぶ中国訪問を行ったフランスのマクロン大統領ですが、
エアバスの航空機の大量販売契約やエネルギー協力など、たくさんの手土産をフランスに持ち帰ったようです。
しかしその“見返り”かどうかは分かりませんが、習近平国家主席はマクロン大統領から
『台湾情勢はフランスの関心事項ではない。フランス政府としては事態を見守るだけだ。』
という言質を取り付けることに成功しました。
意味するところはどうも『米共和党が仕掛ける政治ゲームに欧州が巻き込まれるべきではない』との趣旨だったようですが、
発言が巧妙に切り取られて、若干、曲解されることになったようです。
しかし、欧米の分裂を一生づけることが出来、中国にとってはまさに大金星です。
背景にはフランス政府の『これ以上米中対立に巻き込まれたくない』という意図が強く働いたと言われていますが、
実際にはポスト・コロナの経済回復や、ポスト・ウクライナの国際情勢において、
フランスは中国とのタッグ“も”選んだというように解釈できるかと思います。
ただ、アメリカにとってはあまり嬉しいニュースとは言えないかと思われます。
この中国とフランスの最接近が何を意味するのか?
ロシアとの関係に何らかの含みがあるのか?
それはまた後日お話しできればと思います。
二つ目は【顕著になった中東地域の再編】です。
3月10日に発表されて世界を驚かせたイランとサウジアラビア王国の歴史的な和解と国交正常化に向けた動きは、
順調に前進しているようです。
イラン政府は、すでに国交を回復していたUAEやオマーン、カタールなどサウジアラビア王国寄りの諸国と次々に仲直りをし、
相互に大使館を再開するなど、着々と関係修復と、広域西アジア・中東地域の再編・再統合が行われています。
その典型的な例は、これまで長年にわたりイランとサウジアラビア王国の代理戦争と言われてきた
イエメン内戦の停戦に向けた交渉が両国間で始まり、近日中に停戦が成立する見込みであるとの状況です。
ちなみにこの背後にも中国政府の仲介があるようです。
そして、これはイスラエル・ネタニエフ政権のオウンゴールとも言えますが、
かつてない極右の性格を持つ現政権の閣僚から相次ぐAnti-アラブ発言、特に「パレスチナ人は存在しない」という発言は、
中東アラブ諸国の大きな反発を買い、そこにイランが加わって反イスラエル勢力が出来上がりました。
見事にまた中国政府の大金星と言えるでしょうし、アメリカへの当てつけとなった事例かと思いますが、
これはそもそもオバマ政権以降、シェール革命も手伝って、中東地域の戦略的な重要性が低下し、
アジアシフトが進められた中で、アメリカのコミットメントが下がり、
そこに中国とロシアが付け込んだというのが事の発端です。
そしてサウジアラビア王国としては、自国の安全保障と経済的な安全保障の観点から、
中東地域での安定を最優先し、アメリカと距離を取る決定をしたこともあります。
アメリカ政府内の親イスラエル派およびイスラエル政府からは、懸念の声が上がっていますが、
バイデン政権の眼中にイスラエルの重要性はあまり存在しないようです。
一応、政府・議会からの要請に応えるかたちでバイデン大統領は、
サウジアラビア王国のモハメッド・ビン・サルマン皇太子(MBS)と電話会談し
『イランの“脅威”に対応しなくてはならない』と述べたそうですが、
実際にはあまりMBSには相手にされなかったようです。
三つ目は【米国の安全保障に関する秘匿情報のリーク事件】です。
今週はこの話題でもちきりです。
未だに『誰が、何のためにリークしたのか?』は分からず、
『どうして今なのか?』
『ロシア政府の関与はあるのか?』
『情報の信ぴょう性は?』
といろいろな疑問が存在しますが、アメリカの外交上、大失点と言えるかもしれません。
ウクライナでの戦略に変化があるのかどうか?
世界の分断と混乱をさらに進めるような方向に行くのか?
いろいろな観点からの分析が必要となるでしょう。
詳しくは【2‐国際情勢の裏側】のコーナーで、他の2点とも絡めながらお話いたします。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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