坂本龍一さんが亡くなった。
日本を代表する音楽家であるのは間違いないし、音楽にそれほど関心のない私でも、YMO時代も含めて、とても素敵な音楽家だと思ったものだ。いちばん売れていた時代が私の青春時代だったので、本当に悲しい。
相当がんで苦しまれて、最期は死なせてくれとさえおっしゃったと伝えられる。
少しでも長く生きてもらいたいと思うために行われたであろうと行われたがん治療がおそらくは、その苦しみのもとだったのだろう。
残念ながら亡くなることが不可避のがんの場合、インテンシブな治療はしないほうがよかったのではないかと思えてならない。
社会問題へのコミットメントが坂本さんの後半生のライフワークのようになっていたようだ。
神宮外苑の再開発にも強く反対されていたようだ。確かに、新国立競技場を作る際に隈研吾氏を起用し、木材を使った環境に優しいものを作るとか言っていた。
再開発優先で、自然は二の次というのではダブルスタンダードとしか言いようがない。
東日本大震災のあとの支援活動でも精力的に活動しているのも知られている。
さて、それ以上に力を入れていたのは反戦だろう。
がんでボロボロの身体というのに、ウクライナの人道支援のためのコンピレーションアルバムに参加したり、反戦ライブイベントにメッセージを寄せたりしている。
坂本龍一さんの追悼番組を見ていたら、「今日も世界中の、あちこちで命が奪われている」というような一節があった。
その通りだ。ウクライナとロシアの戦争に隠れて、パレスチナでもシリアでも、あるいはアフリカのあちこちでの内戦でも、多くの命が奪われている。
チェチェンでは、同じロシアに人口100万人の国で20万人が殺されたという。
もし坂本龍一さんが、ウクライナだけでなく、世界のいろいろなところで今も子供や何の罪もない人が殺されていると言ってくれたら、多少は忘れられた命に目が向けられていたかもしれない。
どんな天才でも、一つの正義が主流を占めている中ではブラインドになってしまうのだなと少し哀しくなった。
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