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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 172
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、タオバオネイティブ世代についてご紹介します。
デジタルネイティブ世代(ミレニアム世代)、スマホネイティブ世代(アルファ世代)などの言葉がありますが、中国で重要なのがタオバオネイティブ世代です。物心ついた時にはアリババのEC「淘宝網」(タオバオ)があったという世代です。
そのようなタオバオネイティブ世代にとって、買い物をオンラインでするのはごく自然なことです。社会人になってお店を開こうと考えた時に、普通であれば、どの都市に開くか、立地はどうか、家賃はいくらほどかを考えますが、タオバオネイティブ世代はそういうことを考えません。タオバオにお店を出せば、(保証金を預けることは必要ですが)、立地を考える必要もなく、家賃を考える必要もないからです。
中国の若者の間では、かつてないほどの起業ブームだと言う人もいます。起業と言っても会社をつくって、株式公開を目指すというものではありません。お店を開いて、自分の好きなものに囲まれて人生を送りたいと考える若者が増えているのです。
従来では、市場がニッチすぎて商売にならなかったジャンルでも、タオバオを使うと、その希少な消費者と結びつくことができ、運営を続けていける程度の利益は出せるようになります。
若者たちは、大企業に入り、上司や同僚のからのプレッシャーにさらされながら、耐えるようにして、高い給料をもらうという生き方に疑問を感じるようになっています。お金よりも自分の時間を重視するようになっています。そのように考える若者がお店の起業に向かっています。
今回は、タオバオネイティブ世代がどのようなお店を始めているのかをご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 172
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▼目次▼
若者は「お店」を開きたがる。タオバオネイティブ世代の起業に対する考え方
小米物語その91
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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若者は「お店」を開きたがる。
タオバオネイティブ世代の起業に対する考え方
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今回は、タオバオネイティブ世代についてご紹介します。
タオバオネイティブ世代というのは、アリババのEC「淘宝網」(タオバオ)が物心ついた頃にはあったという世代です。タオバオが登場したのは2003年なので、20代前半以下の世代を指します。世間でよく言われるZ世代とほぼ重なる世代です。
タオバオネイティブ世代の大きな特徴は3つあります。
1)ECが小売チャンネルとしてあたりまえの世代
物心がついた時にはECがあり、ECで商品を買うのがあたりまえになっています。私たちが「商品はお店で売っている」と考えるのと同じくらい自然に「商品はネットで買える」と考えています。
2)人生の成功はお金ではなく、自由になる時間の多さ
これはZ世代に共通する考え方ですが、人生の成功とはお金持ちになることではなく、好きなことができる時間の多さだと考えています。と言っても、お金が欲しくないということではありません。高級車に乗る、別荘を持つといった生活を実現するのに、1年365日、強いプレッシャーだけでなく上司のパワハラにも耐えて働くことに価値を見出せないということです。最も理想なのは、好きなことを商売にし、楽しい時間をすごし、それで余裕のある生活が送れる程度のお金を稼ぐという状態です。つまり、物よりも時間、物質よりも精神を重視しています。
3)起業志向が強い
正確な統計があるわけではありませんが、大学生の間ではかつてないほどの起業ブームになっています。ただし、起業といっても、日本の「起業」とはずいぶん趣きが違います。日本の起業は、いまだに、ベンチャーキャピタル(VC)の人か、成功した経営者とつながり、資金を調達し、株式公開をねらうというものです。もちろん、これは悪いことではなく、素晴らしいことです。しかし、そのような起業で成功できるの
は、時間のすべてを起業に注ぎ込んだ人のうち、ごくわずかな運にも恵まれた人だけです。大半の人は毎日パーティーやセミナーに出席して、集めた名刺の数やSNSでつながった著名人の数を競い合うだけのサークル活動で終わってしまいます。
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