【初めての家出】
「ここは俺の家だ!」
みつおは生まれて初めて父親とケンカをした。
母親が死んでから寂しそうな父親に気を遣っていたのだが、いくら何でもという事件が起きたのだった…
「今週もおつかれさん、みつお、ウチでご飯食べていけよ」
毎日のように親方の家でご飯を食べて、ビールまでご馳走になっていた。
家が近くだったので、歩いても帰れる範囲だったのである。
近くのスーパーにバイクを停めておけば、飲んだ後は歩いて帰って、翌朝バイクをとって出勤すればよい。
ちょっと遠いバイクの駐輪場と思えばいいだけだった。
その日は土曜日だったので
「ちょっと歌いに行こうか」
親方得意の飲みへ誘いだった。
もちろん、もれなく奥さんであるみつおの従姉妹も一緒である。
従姉妹は飲み屋時代から明るくて話が面白いので飲み屋でもちょっとした有名人だった。
酔ってくると立って歌い出し、山本リンダのモノマネをすると、店中が大盛り上がりだった。
「みつおはどこか行くんだろ、俺らは帰るよ」
「はい、お疲れ様でした」
飲み始めたら止まらなくなるのがみつおだった。
親方たちと別れた後、タクシーで繁華街へと向かうのだった。
夜の世界にいた時の行きつけの店である。
今までと違い、早い時間から行く事ができるので、土曜日は早い時間から朝まで飲んで帰るのがお決まりになっていたのだった。
その日は、朝まで賑わっていたため、六時閉店が、七時まで伸びたのだった。
店が閉店するまでいるのがお決まりのようになっていたので、みつおも七時まで飲んでいたのである。
それから、片付けの間、ちょっとした手伝いをしなが最後までおしゃべりをして、従業員と一緒に店を出て、1Fで解散するのだった。
たまにアフターといって、一緒に仕事後の食事に行くこともあったが、その日はみんな疲れていたので、すぐに帰るとのことだった。
みつおもタクシーを見つけて乗り込んだ。
家に着いたのは朝の八時半である。
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