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佐々木俊尚の未来地図レポート 2023.4.17 Vol.751
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【今週のコンテンツ】
特集
朝キュレにVoicy、新しい取組をはじめる時につねに心がけていること
〜〜〜音声メディアは未来の大きな可能性を秘めていると実感
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
朝キュレにVoicy、新しい取組をはじめる時につねに心がけていること
〜〜〜音声メディアは未来の大きな可能性を秘めていると実感
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わたしは2021年9月から音声プラットフォーム「Voicy」での音声配信をスタートし、毎日音声を投稿してまもなく600回。フォロワーさんも2万4000人近くになりました。多くの人に聴いていただいて、本当にありがたいことです。
Voicyをはじめたきっかけは運営事務局のかたから声をかけていただいたからですが、もともと音声メディアの可能性には個人的に注目していました。以下の3点が注目しているポイントです。
(1) 海外ではポッドキャストが大流行し、Spotifyもポッドキャストに進出するなど、音声メディアが盛り上がっている。日本では今のところそんなに盛り上がっていないが、「米国に3年遅れ」で日本で流行るテクノロジーは多い。いずれ日本でも音声が「来る」のではないかという予感。
(2) 日本にもラジオのネット配信であるradikoがあるが、音質がFMよりも悪いという欠点がある。コンテンツ自体も当然ラジオそのままで、はたして今後のネットの音声メディアとしてラジオ番組という枠のありようが最適なのかどうかはまだわからない。つまりネットの音声メディアの可能性は未知数。
(3) 音楽番組の可能性よりも、「人の肉声」に可能性を感じている。単なるエンタメではなく、かといってロジカルな文章ではなく、肉声による人と人の信頼感ということにはなにか未来があるのではないか。
Voicyをやっていて、よく質問されるのは「毎日配信するのってたいへんじゃないですか?」「どのぐらい時間をかけているんですか?」とといったことです。要するにどれぐらいのリソースをかけているのかということなのですが、これは配信などを長く続けるうえで非常に大切なポイントです。
最初にVoicyからお誘いいただいた際、「まずは少しやってみて、自分の時間的・精神的リソースがどのぐらい必要なのかを試してみよう」と考えました。これはVoicyにかかわらず、何かをはじめる時にわたしが必ず踏んでいるメソッドです。
(1) 新しいサービスを見つけたら、まずはアカウントをとってみて、少しだけでも触ってみる。
(2) 新しいプロジェクトを始めようと考えたら、まずは数日間ぐらいはやってみる。そして自分のリソースをどのぐらい浸食するかを検証する。
(3) それで続けられそうなら、数か月ぐらいはやってみる。そこまで来た段階で「これは続けていたらなにかのメリットがあるか」「もしくは他者への貢献になっているか」「もしくは続けたら楽しいと感じられるか」を検証し、続行するかどうかを判断する。
たとえばわたしは毎朝午前8時から、8〜10本ぐらいの記事をコメント付きで紹介する「朝キュレ」と自称している行為を長く続けています。きっかけは2010年末、『キュレーションの時代』という本の原稿を執筆しているなかで「自分でもキュレーション的な行為をやってみる必要があるのではないか?」と感じたことからでした。
実際に毎日のキュレーションをスタートし、そして4か月後には東日本大震災が起きました。震災後はデマが大量に出まわったこともあって、多くの人々が公正な情報を追い求めていました。そこでわたしは自分なりに収集した情報を大量にシェア。朝だけでは間に合わないほどだったので「朝刊」「夕刊」と称して一日に二度のキュレーションを続けました。
311を乗り越えて、半年後ぐらいに自分なりの検証した結果は次のようなものでした。
(1) たくさんの記事を読んで、そのなかから紹介する記事をえらぶのにはけっこう時間がかかる。しかしまとまった時間を用意する必要はなく、仕事や移動のあいまなどのスキマ時間を利用すれば、それほど時間的リソースは消費しない。
(2) 多くの人に「良質な記事を紹介してくれてありがとう」と喜んでもらえている。これは実に嬉しい。
(3) たくさんの記事をみずから強制的に読む習慣ができることで、情報力がかくだんに上がった実感を持てた。これは今後もジャーナリストとしての自分のアドバンテージになるかもしれない。
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