モリの新しい社会をデザインする ニュースレター（有料版）2023年4月29日（土）号

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- はじめに -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 　米ウォルト・ディズニーは26日、フロリダ州オーランドに位置するテーマパークである「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」の事業の運営に不当に介入しているとし、フロリダ州のデサンティス州知事（44）を、州の連邦地裁に提訴した。 　デサンティス氏は、2024年の大統領選への立候補が噂され、トランプ前大統領に次ぐ共和党の有力候補と目されている。 　保守派であるデサンティス氏とディズニーとの間では、1年以上も前から対立が続く。デサンティス氏が、LGBTQなど性的少数者の話題を小学校の授業で扱うのを規制する州法を昨年3月に成立させたことが発端。 　ディズニーはこれを批判し、それに対しデサンティス氏はディズニー社への優遇措置を含む特区制度を廃止するという報復にでた。 　訴状で、ディズニー側は、 「政治の力を武器にした執拗なキャンペーンだ」（浅井俊典「ディズニーがデサンティス・フロリダ州知事を提訴「事業に不当介入」　大統領選の共和党有力候補」東京新聞デジタル、2023年4月27日、https://www.tokyo-np.co.jp/article/246676 だと主張。 　さらにテーマパークの行政サービスを管轄する委員会の委員を知事が指名して、テーマパークの運営に介入しているとし、このような措置が違法であると認めるよう裁判所に求めている。 　当人のデサンティス氏は、現在、経済代表団を率いて日本や韓国、イスラエルを歴訪中だ。大統領選出馬を睨んだ動きとみられるが、しかしトランプ氏との支持率の差は縮められず、最新の世論調査でも失速気味だ。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 米FOXニュース、投票集計機メーカーに1000億円支払い、和解　2020年大統領選めぐる「不正」主張で　FOXニュースとは？　アメリカの”分断”煽る ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 　2020年のアメリカ大統領選挙で、選挙結果を不正に操作したとの報道で名誉を棄損されたとして、米投票集計機器メーカー「ドミニオン・ボーディング・システムズ」が、アメリカの保守系メディアFOXニュースに損害賠償を求めていた訴訟は、18日、FOXが7億8750万ドル（約1000億円）を支払うことで和解が成立した。 　ドミニオン社の集計機が不正に操作されていたとの主張は、2020年の大統領選で敗北したトランプ前大統領陣営が繰り広げた不正を訴える主張の根幹の一つ。 　裁判でFOX側が実質的に敗訴したことは、現在までも主張を続けるトランプ氏にとっては打撃となる。 　裁判開始前に公表された裁判資料によると、FOXの役員や記者らは、内部では2020年の大統領選挙が「盗まれた」とする陰謀論については、疑問を持ったり、否定してはいたものの、しかしその内容をそのまま放送していた（1）。 　また、FOXを傘下に持つ 米メディア大手フォックス・コープの会長ルパート・マードック氏も情報について、 「本当にばかげている」（2） と言っていたいにもかかわらず、いかなる措置も講じていなかった。 目次 ・FOXニュースとは ・2016年、FOXニュース内でセクハラ　映画「スキャンダル」で実写化も ・強い”保守色”の副作用　ディズニー、映画スタジオ「20世紀FOX」から「FOX」のブランド名を削除 ・FOXニュースとは 　今回問題となったFOXニュースは、「世界のメディア王」として名高いルパート・マードック氏が1996年に設立したアメリカのニュース専門局。1996年10月7日より放送開始。 　開局当初が1700万世帯という状況であったが、放送契約を結んだケーブルテレビに奨励金を支払うというキャンペーンを行い、視聴者を増やしていく。 　マードックのもと、トークラジオ形式の番組や派手なグラフィック、効果音を多用したニュース番組が人気となり、1990年代末からCNNの視聴者を奪い始め、2000年からCNNと拮抗、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を機に、視聴者数でトップの座に躍り出る。 　FOXニュースは、アメリカ社会の分断を生んだ張本人でもある。大統領選挙時には、トランプ陣営に沿った主張を展開し、敵と味方とを明確にし、分断を煽ってきた。