ミャンマーで2007年9月、軍事政権による反政府デモ弾圧の現場を取材中に治安部隊に射殺された映像ジャーナリスト、長井健司さん(当時50歳)のビデオカメラが26日、遺族に返還されたとのことで、久しぶりにミャンマーの軍事政権がまだ圧政を続けていることが報じられた。
ロシアがウクライナを攻撃して以来、ずっと日本はウクライナ問題で大騒ぎをしていた。
2017年まで続いたチェチェン紛争では、100万人の人口のうちに20万人が殺されたのに、ヨーロッパ人やアメリカ人は、アジアでの紛争だからと言って、騒がなかった。
もちろん、チェチェンは形式的にはロシア連邦の一部なので、ウイグル問題と同じく戦争とはみなしていないということはあるかもしれない。
知り合いに聞いた話では、ウクライナで戦争が始まった時に、ヨーロッパのテレビでは「ここは、シリアやパレスチナではありません。ヨーロッパの中で、こんな戦争が行われているのです。こうして青い目をしたブロンドの人が殺されているのです」というようにレポーターが叫んだという。
アジア人なら死んでもいいが、ヨーロッパの人間はダメというのが、この戦争のベースにある。
実は、NATOはコソボというヨーロッパの国で空爆を行っている。
確かに大規模な攻撃はできず、死者も多くないが、ヨーロッパ人が殺されてもNATOによるものだと許されるらしい。
いずれにせよ、日本のマスコミは、ウクライナ戦争については、欧米人の尻馬に乗って大報道をしたが、同じアジアのミャンマーで圧政が続いていて、日本人も殺されているのに、その報道がバタリと止んだ。
そして、今話題のスーダンを初め、世界中の国で多くの人が殺されているのに、ウクライナとロシアでしか戦争が行われていないかのような錯覚を起こすほどの報じ方を続けた。
プーチンが極悪非道として断罪され、世界中の人殺し独裁者は、忘れられた存在になった。
もちろん、ほかに悪い人がいるからといってプーチンの罪が許されるわけではないが、プーチンが悪いからと言って、ほかのもっと悪い人が許されるというダブルスタンダードは納得できない。
ついでにいうと、欧米の尻馬にのって、ロシアとの関係が決定的に悪くなり、原油価格も食糧価格も大幅にあがった。欧米に追随しなければいけないのなら、エネルギーも食糧も備えをしなければいけなかったのに、その備えもしないまま、ヨーロッパの戦争に乗っかるというのは、国民に無責任に思えてならない。
インドは、このような尻馬に乗らず、原油の迂回輸出で大儲けしているし、中国もエネルギーや食糧が安定供給できている。
日本は冬を運よくのりきれたし、飢え死にもでていないが、戦争で死ぬのも、餓死や凍死も人が死ぬことには変わらない。
少なくとも、アジアの中の日本というなら、ミャンマーのような国に怒りを覚えるほうがウクライナより先だとアジア人として思えてならない。
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