メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

第65回 台湾有事とはしゃぐ日本が見えなくなっている台湾海峡の変動

富坂聰の「目からうろこの中国解説」
 以前このメルマガでも書いた通り、「台湾有事」とは、「ある」か「ない」かという単純な話ではない。中国共産党が軍事力を行使する前には、それこそ無数の選択肢があるからだ。  しかも、もし「台湾有事」を話題にするならば、問われるべきは戦術ではなく覚悟だ。  日本ではよく「防衛力を高め、中国に侵攻を思いとどまらせる」と表現される。しかし、「いかなる犠牲を払っても台湾の独立は阻止する」というのが中国共産党の覚悟だ。「思いとどまらせる」ことは容易ではない。  かつて中国は、核兵器もレーダーもなく、みすぼらしい装備と乏しい資源しかないまま米軍に挑んだ。朝鮮戦争である。60年代末には世界最強の軍事力を誇った旧ソ連を相手に全面戦争の危機を迎え、一歩も引かなかった。  損得勘定を捨てた中国の恐ろしい一面だ。その状態に中国を追い込めば、周辺の国々、なかでもアメリカの手先となって台湾問題に介入した日本は無事で済むだろうか。 自国を焦土と化す覚悟で戦争に踏み切る中国が自衛隊だけを相手に済ませるだろうか。日本のインフラを狙って徹底的に破壊するのではないだろうか。少なくとも中国の世論は沸騰し、歴史問題との相乗効果で「日本消滅」を新たな目標とするだろう。それが覚悟だ。  そんな大げさな話、との批判もあるだろう。だがそれ以前に、もしこの一帯で戦争が起これば、日本は通常の経済活動を続けられるだろうか。世界のマネーは一斉に引き上げてゆくだろう。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 富坂聰の「目からうろこの中国解説」
  • 中国報道で日常的に使われる言葉や表現、これを詳しく分析すると、これまで知っていた事実とは違う世界が見えてくる。ニュースのミスリードから脱する処方箋を書く。
  • 990円 / 月(税込)
  • 毎週 日曜日(年末年始を除く)