地方が活性化の原点に
在宅勤務が普及すれば
大平内閣の構想生かす
半導体列島へ変身する
日本経済のアキレス腱は人口減である。すでに、12年間もこの状態が続いている。この間、政府も対策に必死で取組んできたが、ついにその効果も上がらず、近年の出生率は低下傾向を強めている。政府機関の国立社会保障・人口問題研究所が、日本の「将来推計人口」を発表した。それによると、2056年に人口が1億人を下回るというのだ。
肝心の生産年齢人口(15~64歳)は、2020年の7509万人が、2070年には4535万人へとざっと4割も減る計算である。50年間で3000万人もの働き手が失われるのだ。人口推計は、経済統計の中で最も信頼性が高いとされる。となると、日本は開闢(かいびゃく)以来の困難な事態が待ち構えることになる。
こういう厳しい現実を突きつけられても、なお有効な対策を打ち出せないとすれば、日本は滅び行く不甲斐ない国家の烙印を押されるだけだ。しかし、日本には伝統的な「知恵」がある。島国の日本が、GDPで世界2位になれた原動力は、この知恵を存分に使ったことにある。つまり、日本は物事を簡略化しコンパクトにする能力が、文化として根付いていることである。
具体的には、「たたむ・よせる・つめる・けずる」という作業を通じて、「盆栽・生け花・床の間」という日本独特の文化を育ててきた。これが、戦後の経済復興時には、「トランジスタ」(半導体素子)を利用した工業製品で、「小型化」したラジオを世界中に輸出して大成功を収めた。このように、日本文化は独特の性格を持っているが、GDP世界2位になって、すっかりその特性を忘れた状況だ。不動産バブル崩壊が、挑戦的な精神構造を鈍らせたのであろう。
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