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楽天モバイル、KDDIとの新ローミング契約で「完全使い放題」を実現 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.515

石川温の「スマホ業界新聞」
-------------------------------------------------------------------------------------- 石川 温の「スマホ業界新聞」 2023/05/13(vol.515) -------------------------------------------------------------------------------------- 《目次》 1.楽天モバイルがパートナー回線でも「使い方放題」に ----KDDIもローミング収入確保で、高橋社長「お互いいいバランスをとった」 2. 楽天モバイルが「ワンストップ&ワンクリック契約」を実現 ----本人確認、クレカ情報保有済みの数千万ユーザーがターゲット 3.バルミューダが携帯電話事業からの撤退を発表 ----為替変動によるコスト高で後継機種開発を断念 4.今週のリリース&ニュース 5.編集後記 -------------------------------------------------------------------------------------- 1.楽天モバイルがパートナー回線でも「使い方放題」に ----KDDIもローミング収入確保で、高橋社長「お互いいいバランスをとった」 -------------------------------------------------------------------------------------- 楽天モバイルは5月12日、プレスカンファレンスを開催し「最強プラン」を発表した。これまで国内ではパートナー回線は月間5GBまでという制限があったが、KDDIとの新たに結んだローミング契約により、パートナー回線でも「使い放題」を実現した。 前日にKDDIと楽天モバイルから、ローミングに関して、従来とは異なる業務提携が行われ、東京都内など繁華街やビル内でもローミングが提供されることが明らかになっていた。 これまでは接続料が1GBで500円程度と割高な契約内容で、三木谷浩史会長は「ローミングが高すぎる」と常々、ぼやいていた。 今回の契約内容は「お互い、細かい話を言うのやめようね。ということになっている」(KDDI高橋誠社長)ということで明言を避けた。 楽天モバイルにとってはKDDI網へのローミングにより、エリア展開に向けた早急な設備投資を回避することが可能になる。前回の決算会見で、今後、設備投資額が減っていくと明かされていたが、今回の決算会見では今年度だけでも3000億円から2000億円規模に設備投資額が削減されると明らかにされた。楽天グループとしては今年度から社債の返還がキツくなってくるだけに、新ローミング契約によって、かなり時間が稼げたと言えるだろう。 一方のKDDIにとっても、ここ数年、楽天モバイルからローミング接続料収入は年間数百億円規模の利益を生み出しており、値下げ影響による減収の穴埋めになっていたのは間違いない。 ただ、楽天モバイルが急激に全国にエリア展開を行い、ローミング収入が激減してきたため、KDDIとしても、これまでの割高な接続料を見直してでも、安定的な収入源の確保に走ったのだろう。 ただ、気になるのが、楽天モバイルがパートナー回線でも使い放題を提供することにより、楽天モバイル側としては「接続料の支出がさらに負担増にならないのか」、一方でKDDI側としては「楽天モバイルに使い放題を提供して、ネットワーク品質は落ちないのか」という点だ。 実際、プレゼンや決算資料を見ていると、楽天モバイルのKDDIネットワークへの依存度は5%程度に落ち込んでおり、これから接続料の支払いが一気に増えるものでもなさそうだ。 逆にKDDIとしても、そこまでネットワークへのインパクトは大きくないという判断がされたようだ。運用面でも、局所的なトラフィック混雑が起こるような場所はローミングの対象外となっているとのことで、auユーザーの品質には影響がないような運用をしていくとのことだ。 個人的に気になっているのが、この間の大型連休中に伊豆ぐらんぱる公園で子どもをトランポリンで遊ばせている時、自動車レースの「SuperGT」の中継を見たくてJSPORTSオンデマンドを起動したのだが、楽天モバイルでのパートナー回線でつないだら映像がほとんど流れてこなかった。そこでpovoに切り替えたところ、実にスムーズに中継映像が流れてきたということがあった。 ということは「パートナー回線でも使い放題」とはいうものの、ユーザー体験として決していいものではない可能性も出てくる。 楽天モバイルとしては新ローミング契約で時間は稼げたが、結局は自分たちで地道に全国にエリア展開していくしかなさそうだ。 -------------------------------------------------------------------------------------- 2. 楽天モバイルが「ワンストップ&ワンクリック契約」を実現 ----本人確認、クレカ情報保有済みの数千万ユーザーがターゲット -------------------------------------------------------------------------------------- 今回の楽天モバイルが発表した案件で、かなり注目なのが「ワンクリック契約」だ。楽天市場上にあるバナーをクリックすることで、eSIMがダウンロードされ、楽天モバイルの契約が完了するというものだ。 このサービスで肝となるのが「楽天の会員であること」ということだ。ユーザーはすでに楽天市場に会員としてログインしており、さらに楽天グループとして本人確認済み、クレジットカードも登録済みということだ。 ただし、プレスカンファレンスでは「データ契約のみ」とされ、決算会見で三木谷浩史会長は「音声プラン契約も可及的速やかに始めたい」としていた。プレスカンファレンスではオンライン参加からの質疑応答は受け付けておらず、決算会見では質問する機会があったので三木谷浩史会長に「音声契約ができない課題と、できるとすればいつ頃なのか」を聞いてみた。 三木谷会長によれば「海外だと欧州を中心に、ポストペイドについて本人確認は不要になってきている。一方、日本は役所さんの指導で、音声契約については本人確認をしてほしいということになっている」という。 数年前までは海外での音声契約は緩かったが、最近になってどの国や地域も本人確認が厳格になっている感はあるので、ちょっと認識に違いがあるかもしれない。 続けて三木谷会長は「よくよく考えてみると、楽天カードや楽天銀行、楽天証券など、すでに本人確認ができているものが多い。これらを流用させていただくということで調整ができている。

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