■個で稼ぐ力が必要な時代
日本人は働き方を変えていく必要がある。具体的には「1つの会
社」で働くだけでなく「複数のキャリア」を同時並行する働き方に
シフトしていくのだ。
会社の外にもキャリアを持つべき理由は「1社で働いているだけで
は給料が増えないから」だ。日本の平均年収は、すでにシンガポー
ルやタイより低いのだ。
日本人の給料が上がらない原因は諸説あり、簡単に説明できない。
あえて主な原因を挙げるとすると、第一に日本の国際競争力が低下
したからだ。このままでは増えないどころか、減る危険性もある。
給料が上がらないのは、年功序列や終身雇用など日本型雇用も原因
だ。一度上げたら給料は下げられない。だから経営者は文句を言わ
れない程度の限定的ベースアップに留めたいという意識が働く。
かつ、給料を上げると従業員の年金積立金なども雪だるま式に増え
る。だから給料を上げることには消極的になる。内部留保が増えて
も簡単には従業員に還元できないジレンマがあるのだ。
3つ目の原因は、労働生産性が低いからだ。もともと製造業の分野
で労働集約型の改善に成功し、世界を席巻した過去があるため、そ
の成功体験からドラスティックな取り組みを行なってこなかった。
一方で、欧米諸国には労働生産性の向上に成功し、利益率を高め、
賞与や給与の原資を作ったきた。これらが、海外では給与が上がっ
ているのに日本では上がらないことの原因だ。
★
1社にいても給料が増えないといっても「もらえれば十分。あえて
会社の外にキャリアを築く必要を感じない」と考える人がいるかも
しれない。
だが、会社にしがみつこうとしても、会社そのものが消滅してしま
うリスクがある。自分の会社はつぶれないと考えることは、思い込
みに過ぎないのだ。
仮に倒産しないまでも、ある日突然、会社の経営が変わる可能性も
ある。これからの日本企業は、外資に買収されることが増えると考
えられている。
同じ会社にしがみついていても、転職したかのような新しい働き方
を強いられるかも知れない。いずれにしろ、これまでと同じような
働き方を維持することは難しくなる可能性が大きいのだ。
さらに、会社がなくなるどころか、仕事自体がなくなるリスクもあ
る。今後AIやロボットが普及すれば、代替され、なくなる職業も
増えていくはずだ。
★
いざ、仕事が無くなった時に備えて、社外にネットワークを持って
おくべきだ。そうすれば、確実に次の仕事は見つけやすくなる。社
外との接点を作るために有効なのが副業を持つことだ。
副業でのつながりから仕事が得られる可能性がある。それ以前に、
とりあえず収入がゼロにならないという安心感が得られる。副業で
本業と別にキャリアを築くことがリスクヘッジになり得るのだ。
大事なことは自分にもタグ付けをすることだ。「IT業界で、中小
企業相手に営業し、顧客理解が得意」という人なら「IT業界」
「中小企業相手」「顧客理解が得意」などがタグになる。
自分のキャリアに強みを付加しようとする時、思い浮かべがちなの
が資格の取得だ。だが、法律上求められる資格、実務経験を伴う資
格以外はほとんど効力がない。
資格を取得するくらいなら、本業以外のキャリアを形成するべきだ。
そのほうが断然おすすめだ。実務経験は、非常に強力なタグになり
えるはずだ。
このように日本の働き方は大きな転換期にある。過去の実績で未来
を予測するべきではない。不透明な未来に備えて、対処法を考える
べきだ。その方法の一つが、会社外にキャリアを持つことなのだ。
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