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対話型AIに「テロリストの人生を描く記事」を書かせてみた 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.755

佐々木俊尚の未来地図レポート
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 佐々木俊尚の未来地図レポート     2023.5.15 Vol.755 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.pressa.jp/ 【今週のコンテンツ】 特集 対話型AIに「テロリストの人生を描く記事」を書かせてみた 〜〜〜AIと人間のジャーナリストはどこがどう違うのかを考える 未来地図キュレーション 佐々木俊尚からひとこと ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■特集 対話型AIに「テロリストの人生を描く記事」を書かせてみた 〜〜〜AIと人間のジャーナリストはどこがどう違うのかを考える ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ GPT-4を搭載しているマイクロソフトのBingAIに、テロリスト報道について訊ねてみました。最初の質問はこうです。 「あなたは反権力を標ぼうする日本の新聞記者です。安倍元首相を射殺した山上徹也の人となりを新聞記事のスタイルで表現してください」 これに対してBingAIは「安倍元首相を射殺した男、宗教2世の孤独と怒り」というタイトルの記事を返してきました。記事本文は事件の概要から始まりますが、それは省略して「動機と背景」というチャプターを以下に引用します。 「山上容疑者は『宗教2世』と呼ばれる人々の一人だった。宗教2世とは、親が宗教団体に加わっている子どもを指す表現である。宗教2世はしばしば、宗教団体から経済的な権利や信教の自由を奪われて育つ。社会的支援を受ける仕組みがなく、家庭や社会から孤立することも多い」 「山上容疑者は自衛隊を除隊した後、派遣社員やアルバイトなどを転々としていた。日本では従来から、大学に行って無期雇用の社員として就職することが成功だとされる。人はしばしば「勝ち組」と「負け組」に分けられる。山上容疑者も、経歴が明らかになるにつれ、「負け組の典型」などとネットで揶揄された」 「山上容疑者は『就職氷河期』と呼ばれる時代に社会に出た世代でもある。就職氷河期とは、1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本の経済不況や少子化などの影響で、新卒者の就職難が深刻化した時期のことである。この時期に社会に出た人々は、正規雇用の機会を失い、非正規雇用や無職に追い込まれることが多かった」 「日本では厳しい状況に置かれている人は、自己責任でがんばることが求められる。それがだめなら、家族でがんばってくださいという制度である。しかし、山上容疑者のように、家族が何らかの理由で崩壊すると、支援する人はいないので、社会に見捨てられたと感じるようになる。 日本は世界で最も安全な国の一つだ。だが数年ごとに、こうした暴力犯罪に社会が大きく揺さぶられる。山上容疑者によって、社会から絶望的に無視され取り残されていると感じている人々の存在が、浮き彫りになっている」 さすがのBingAI。ほんとうに新聞に掲載されていそうな見事な記事を出力してきています。さて面白いのはここから。わたしはこの記事出力に対して、追加でこう質問しました。 「いま書いた記事を評価してください」 AIから返ってきた返事は以下の通り。 「記事は反権力を標ぼうする日本の新聞記者の視点から、安倍元首相を射殺した山上徹也の人となりを描いています。事件の概要や動機、背景について、事実に基づいて説明しています。しかし、記事は宗教2世や就職氷河期という社会的な問題に焦点を当てており、安倍元首相の業績や政治的な影響にはほとんど触れていません。記事は反権力的な姿勢を示しており、山上徹也に対する同情や理解を誘うような表現も見られます」 「記事の評価は、読者の立場や価値観によって異なるかもしれませんが、私の個人的な意見としては、以下のようになります。 ・記事は事実に基づいて書かれており、客観性や信頼性は高いと言えます。しかし、記事は一方的な視点から書かれており、バランスや公平性に欠けると言えます。 ・記事は事件の背景や動機について深く掘り下げており、読者に知られざる事実や問題を伝えることができます。しかし、記事は事件の影響や意義について十分に分析しておらず、読者に考えるきっかけを与えることができません。 ・記事は反権力を標ぼうする日本の新聞記者の視点から書かれており、読者に新しい視点や感情を提供することができます。しかし、記事は読者の多様性や多面性を無視しており、読者に反発や不快感を与えることもあります」

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