1)今年のホットトピックはAI。予算も制度もガラッと変わる
AIについての政策動向があわただしくなってきています。
4月10日には岸田首相が、chatGPTで知られるOpenAI社の社長と面会しました。日本の首相が一企業の代表に面会することは珍しい、と新聞でも話題になったので覚えている方も多いかと思います(※)。
※産経新聞の抜粋
「官邸幹部「アルトマン氏とは首相は会わない。個別の会社のトップとは会わないので」
議員「個社のトップとは会わない?ではビル・ゲイツやイーロン・マスクが来たらどうするか。会うだろう。(世界で話題の)アルトマンと会わないのか」
官邸幹部「会っても、首相は一言も話さないことにする」
こうしたやり取りの後、議員は官邸幹部を一喝。」
https://www.sankei.com/article/20230509-M2VLGITAQFLHHCJINXLRV3PSHQ/
また、政策の舞台装置もあわただしく設置されています。5月11日には、AI政策の方向性を幅広く議論するためのAI戦略会議が岸田首相の号令により立ち上がっています。
5月10日の松野官房長官の閣議後会見によると、AI政策は、これまでAI戦略実行会議で技術面を中心に議論していましたが、今後は倫理や法制度についても議論の幅を広げるためにAI戦略会議に組織改組されたものとされています。
構成員の変化からも政府がAI戦略への関心を高めたことがわかります。今回組織変更の対象となるAI戦略実行会議とその下の新AI戦略検討会議は、民間人のみで構成されていました。この会議には政府における意思決定権者が入っていないので、有識者が議論した内容が政策になるとは限らない状況でした。
AI戦略実行会議:
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/senryaku/1kai/siryo1.pdf新AI戦略検討会議:https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/shin_ai/1kai/sanko1.pdf
一方、今回新しく作られたAI戦略会議は構成員に総理以下、関係省庁の大臣が参加者として名を連ねています。政府としてAI戦略の優先順位を格上げした状況です。これから6月に閣議決定される骨太の方針や8月末に概算要求が出される次年度の予算においてはAI関連の予算が多く含まれることが想像できます。
いわば今はAI政策を進めるための窓が全開に開いている状況です。どのような方向性の予算や制度が実現される可能性があるのか、早めに抑えておくことが必要です。
AI戦略会議の参加者名簿:
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_senryaku/1kai/shiryo1.pdf
2)最低限のAI知識を確認。政府資料から基本を押さえよう
AIがにわかに盛り上がっていますが、多くの方はAIについていまいちピンと来ていないのではないでしょうか。テクニカルなことまで初心者が抑えるのは難しいので、最低限、AI政策を理解するために抑えておくべき事項をおさらいします。
このような難しいテーマについては、政府や与党の会議の序盤で説明されていることが多いです。今回は与党で設置されている「自民党AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」の資料がわかりやすかったので、その中の資料を参考にご説明します。資料自体は衆議院議員の塩崎彰久さんのnoteにアップされています。
塩崎彰久議員note:
https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n4c126c27fd3d
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