永田町異聞メルマガ版
「国家権力&メディア一刀両断」 2023.05.18
新 恭(あらた きょう)
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大津波の警告を捻じ曲げ対策を邪魔した面々を東大名誉教授が告発
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2002年に政府の地震本部は「長期評価」を発表し、「三陸沖から房総沖のどこ
でも津波地震が起きる可能性がある」と指摘した。「30年以内に20%」と数字
も提示した。ところが、東京電力は何ら対策を講じることなく、あの未曾有の
原発災害を招いてしまった。
ここまでは、よく知られた話である。だが、東電と秘密会合を重ねた政府内部
の防災担当組織が、莫大なカネと労力を要する福島第一原発の津波対策をしな
いで済むよう、「長期評価」を歪曲する画策をしていたことまでは、広く認識
されているとは言い難い。
福島県沖で津波地震は起こらない。そういうことにすれば、東電は対策をしな
くてよい。それと辻褄を合わせるため、福島県周辺地域の防災計画までも捻じ
曲げ、津波への備えがおろそかになった結果、多くの人々の命が失われたのだ。
「長期評価」をまとめた当事者である東大名誉教授、島崎邦彦氏(元日本地震
学会会長)が、このほど出版した「3.11大津波の対策を邪魔した男たち」で、
“告発”した内容だ。
筆者は、2018年10月25日発行の当メルマガ「大津波『長期評価』を歪めた内閣
府、対策を怠った東電」で、福島第一原発事故の刑事責任を問う東電裁判を取
り上げ、島崎氏の証言に言及したことがある。
今回の告発本は、その証言をさらに掘り下げて詳述した内容であり、原発利権
と国家権力の堕落によって国民多数が悲劇のどん底に落とされた事実経過を物
語る歴史的資料といえる。
島崎氏は、阪神・淡路大震災後に、文部科学省の特別の機関として設置された
地震調査研究推進本部(地震本部)で長期評価部会長を1995年から2012年まで
つとめた。過去の地震を議論し、今後に起こる可能性を予測するのが部会の役
割で、2002年7月に「長期評価」をまとめたが、内閣府の防災担当大臣から文
部科学大臣に「待った」がかかった。そして、内閣府の防災担当は、発表を見
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