■65歳からは食べ方を変える
65歳という年齢は、その後の人生を「元気で若々しく生きられ
る」か「よぼよぼに衰えていく」かを分ける大きな分岐点だ。この
年齢を境に、加齢による老化の影響をモロに受けるようになる。
60歳ごろまでは「体にいいとされてきた食べ方」も、65歳からは
通用しなくなる。年齢に合った食べ方に切り替えていくことが重要
なのだ。
とは言え、特別な食材を使ったり、手の込んだ料理をしたりする必
要はない。いつもの食材、いつものメニューに、ほんの少し食べ方
の工夫をして、おいしく、楽しく、食べるだけでいいのだ。
★
65歳からは肉や魚から食べ始める肉魚ファーストがおすすめだ。
たんぱく質をしっかり食べることで病気にならない、免疫力が高
い、寝たきりにならない体を作ることが大事だからだ。
たんぱく質は、筋肉、内臓、血液、血管、骨、皮膚、毛髪など体の
あらゆる組織の材料だ。また、免疫細胞や免疫に関連する物質の材
料としても重要だ。抵抗力や回復力を高める働きをする。
食が細くなってくると、たんぱく質を食べる量も自然と減ってしま
う。筋肉を作る力も弱るから、若い頃と同量のたんぱく質を食べて
いても、十分な筋肉が作れなくなってしまうのだ。
たんぱく質がたっぷりとれる食材は、肉・魚・卵・大豆・大豆製
品・牛乳・乳製品などだ。これらを、毎回の食事の最初に意識的
にとるようにしてみることだ。
★
65歳からは、免疫力や筋肉といった病気に対抗する力が衰えてく
る。そこで脂肪の出番だ。脂肪は消化吸収に時間がかかる。その
分、エネルギーとして発散しづらい。
そのため、バテない体を作ることができる。食事から脂肪をとって
おけば、ウイルスや病原菌と戦う際の底力になる。俗にスタミナと
いう体力は脂肪がもたらすのだ。
とはいえ、やみくもに食べていればいいわけではない。脂肪にも食
べ方のコツがある。脂肪は、肉や魚の脂として、たんぱく質と一緒
に食べることが大事だ。
脂肪の一種コレステロールが気になるが、免疫細胞の材料になった
り、肌の潤いを保つなど、健康には必要な成分だ。血中コレステロ
ール値を上げ過ぎる食品もあるが、少なめにすれば問題はない。
★
65歳からは、特定の食品に偏らず、いろいろな食品を食べるとい
うゆるいスタンスに切り替えて栄養バランスのいい食事をすべき
だ。免疫力アップには栄養バランスが欠かせないのだ。
特定の食品に偏るべきではない。主菜は肉や魚などのたんぱく質、
副菜は野菜や果物などビタミン・ミネラル類、食物繊維という風に
バラエティ豊かに食べることだ。
これこそ、体と頭を強くする長寿食の基本だ。同時に免疫力アップ
をはじめ、老化、メタボ、認知症、がんの予防にも効果的な食べ方
といえる。
ムリなくできる方法に回転食という食べ方がある。ポイントは、特
定の食品ばかり繰り返し食べないようにすることだ。毎回の食事で
食べるものを順番に回転させるように変えていくのだ。
たとえば、主菜のたんぱく質源を選ぶ際は、牛肉→卵→豆腐→豚肉
→魚、副菜の野菜類なら、ほうれん草→ごぼう→ブロッコリー→な
す→トマトという具合に毎食ごとに食べるものを変えるのだ。
たんぱく質源の食品と野菜の組み合わせで、メニューをどんどん変
えていけば、栄養バランスもバッチリだ。回転食で品数を増やせば、
食品同士の栄養の過不足も補える。
もちろん、外食や総菜でも回転食はできる。毎日メニューが重なら
ないように選ぶのだ。「今日は油揚げだから、明日は刺身」という
ように気軽に試してみればいいのだ。
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