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217回 人手不足を考える

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
ジャニー喜多川のセクハラをBBCが取り上げてからかなりの騒ぎになっている。 これに対して姉の娘で社長の藤島ジュリー喜多川氏が記者会見をして、基本的に訴えを認めたので、テレビ局の断罪が始まった。 拉致問題のときもそうだが、日本という国は、隠しているときは悪く言わないのに、正直に認めるとボコボコに叩く。 ワシントンの桜の木の話が昔は道徳教育で聞かされたが、その話とはまったく逆のことをやっている。 これではウソつきは絶対に白状しなくなる。道徳教育など無駄になるだけだ。 確かにセクハラというのはトラウマが一生残ることがあるから、もっと罪が重くていい。 アメリカでのPTSDの大規模調査によると、自然災害ではPTSDになる人が5%程度なのに、レイプでは46%の人がPTSDになっている。ところが、男性が男性にレイプされた場合は、なんと65%の人がPTSDになっている。 日本の医学部の教授たちは動物実験ばかりやって人間の心がないから、日本中の82の大学で多数決で決められる精神科の主任教授の中に一人として、私のようなカウンセリングを専門とする精神科医はいない。PTSDになったら最後、よほど優秀な臨床心理士に診てもらわない限り、精神科医で治せる人はほとんどいない。 こころのケアに全力をあげるようなことをジュリー社長はいうが、ちゃんと治療ができる人を見つけられるのだろうか? それ以上に不愉快なのは、日本のテレビ局の偽善だ。 ジャニーという人のセクハラは前から有名だったし、35年も前に北公次という元大スターが『光GENJI』へという告白書を書いているのに、テレビはまったく無視した。 今でも表紙にジャニーズのタレントを使う雑誌は、朝日新聞の子会社でもこの問題をとりあげない。本当にジュリー氏は圧力をかけていないとは思えない。 いずれにせよ、子どもたちやタレントの人権より、ジャニーズのタレントを使うことを優先させて、だんまりを決め込んでいたテレビ局が今頃になって正義の味方面をしても不愉快になるだけだ。 さて、そんな折、市川猿之助という歌舞伎の名優が、同じようにセクハラ疑惑を週刊誌に書かれて、自殺を図ったのかもしれないという話になっている。両親も亡くなっていて、無理心中の疑いもでている。 確かに、無理に関係を迫るのは許されるべきことではないが、そんなにゲイが恥ずかしいことなのか? これで更なる差別が助長されるなら、まさに二次被害だ。 ただ、ゲイのレイプのほうがPTSDになりやすい理由として、やられた側の男性の自尊心が大きく傷つけられ、強い無力感を覚えるからという。やはり力関係を通じて、性的関係を迫るのは、メンタルヘルスには大きな被害を与えるのは確かだ。 薬で治る心の病なら内科医でも治せるが、どうしてトラウマの治療を研究していたり、その治療を教育できるような人を精神科教授に絶対しないという、日本の医学部教授たちの前時代性はまさに犯罪的だ。 入試面接をやめないことを含めて、原則的に、私は医学部教授と聞いただけで信用できない。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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