メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

痩せるのは良いことなのか?

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室192.2023.5.21. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 痩せるのは良いことなのか?  一昨年から運動し、25kg程度減量しました。運動で減量するのは容易なことではありません。毎朝、4時30分に起床し、8.5km起伏の激しい道を時速7kmで歩いていますが、スマートウオッチではそれだけ歩いても400kcalしか消費していません。これだけ運動しても、コンビニでおにぎりを2個買って食べててしまったら帳消しになってしまいます。元々、食欲旺盛で、すぐ太る体質なので、この体重を維持すべく、必死に頑張っています。  さて、皆さんはBMIという指標をご存知でしょうか。BMIの求め方は、 体重/身長(m)2乗となりますので、170㎝、体重71.5kgの私ですと、71.5/(1.7×1.7)となり、BMIは24.7ということになります。BMIが22が標準であり、18.5未満が痩せ型、25以上が肥満となりますので、私の場合はギリギリ標準体型と言うことになります。以前は98kgあったわけですから、以前の私はBMI33.9、明らかに肥満体型と言うことになります。  さて、このBMI、一体幾つくらいが長生きできるのでしょうか。  一般的に、【太ると寿命が短くなる】と考えているかもしれません。しかしながら、どうもそうではなさそうなのです。1番長生きするBMIは25から27のやや小太りの方であり、30以上の肥満の方、18.5未満の痩せ型の方ともに死亡リスクは増えるが、肥満の方よりもむしろ痩せ型の方の方が死亡リスクは高いことがわかってきました。  なんと、痩せ型の方より、肥満の方の方が長生きしますし、1番長生きするのは標準体型の方ではなく、少し小太りの方なわけです。  呼吸器内科医の私としては、どうしても呼吸器疾患を思い浮かべてしまいます。肺癌の患者さん、ある程度の体重がある間は元気なことが多いわけですが、体重が減少してくると、抗がん剤の副作用も出やすくなり、死亡される直前にはかなり体重が落ちてくることが多いです。  人間は食べ物を飲み込む時、息を止めて飲み込みます。そのため、呼吸不全が進行すると、この嚥下と言う動作に息切れを感じるようになり、食べることが、苦しくなります。ただでさえ、呼吸不全の患者さんは、呼吸するために通常の数倍のエネルギーを使うといわれているなか、苦しさのあまり、食欲が減少してしまうわけです。そのため、進行してくるとかなり痩せてくるわけです。  結核や非結核性抗酸菌症などと言った感染症も、だんだん痩せてきて命に関わるようになります。  そのため、呼吸器疾患患者においては、現疾患に対する治療(癌ならば抗がん剤、呼吸不全なら気管支拡張剤などの吸入、感染症ならば抗生剤)と同時に食欲を増進させること、摂取カロリーを増加させることを考えなければなりません。  癌に対しては、食欲増進させるアナモレリン(商品名エドルミズ)と言う薬が上市され、使用されていますが、その他の呼吸器疾患には現時点で食欲増進作用として、直接効果があるものはありません。そのような場合、大切なのは少ししんどくても体を動かすこと(動かすことによって空腹になる)や、ある種の漢方薬を使用することにより、食欲増進に対して効果が得られることもあります。  何でカロリーを摂取するのか考えることも大切です。脂肪と言うと、皆さん健康の大敵なような印象を受けるかもしれませんが、実は、脂肪でカロリーを摂取すると、糖質やタンパク質に比べて、最も少ない量で、最もカロリーが摂取できることに加え、二酸化炭素産生を抑制できるので、呼吸不全の患者さんの食べ物としてはかなり優秀です。  一概に太っていると悪いとは言えません。その方の全身状態年齢にによって考え方を変えることも大切です。 ***************************** ドクター畑地の診察室192.2023.5.21号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2023.5.28.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** ★お知らせ★

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • ドクター畑地の診察室
  • 現役呼吸器内科、総合内科専門医のメルマガです。世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信!
  • 220円 / 月(税込)
  • 毎週 日曜日(年末年始を除く)