メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

vol.177:まったく新しいアプローチ、レベル2+自動運転とは何か。テスラのFSDを追いかける百度のANPとファーウェイのASD

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2023/05/22
    • シェアする
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 177 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、L2+自動運転についてご紹介します。 日本でもレベル3、レベル4の自動運転が可能になり、一般の乗用車にもレベル3自動運転機能が搭載され、レベル4自動運転のシャトルバスなども走るようになってきました。自動運転の社会実装に関しては、日本はかなり踏み込んで、先端であろうとしています。 しかし、このレベル3以上の自動運転は、「AIが主体になって運転をする」自動運転ですので、技術的難易度が高いばかりでなく、市販をするハードルも高くなります。AIが運転をして、その間、人間は映画を見ていていいというものなので、万にひとつの運転ミスも起きることが許されないからです。そのため、多くのレベル3自動運転は「高速道路での定速走行」「高速道路での渋滞時」など、利用できるシーンが限定されてしまっています。 一方、まったく異なるアプローチから完全自動運転に迫ろうというのが、テスラのFSD(Full Self-Driving)です。FSDでは、家を出るところから、いきなり自動運転が使え、目的地に到着するまで自動運転で行くことができます。ただし、ところどころ、AIでは運転しきれないところが出てくるので、人間が手伝ってやらなければなりません。 感覚としては、「簡易版完全自動運転」、「ほぼほぼ自動運転」になります。ポイントは、あくまでも運転主体は人間であり、人間に手伝ってもらうことが前提であるために、幅広いシーンで自動運転ができるのです。 このような「人間のお手伝い」を前提にした自動運転は、技術的にレベル2に分類されるため、中国メディアは「レベル2+」自動運転という言葉を使い始めています。 そして、百度はレベル2+製品としてANPを発表し年内に量産に入ります。ファーウェイもADSを発表し、年内に搭載車の販売を始めます。 レベル2+自動運転とはどのようなものでしょうか。今回は、レベル2+自動運転についてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 177 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ まったく新しいアプローチ、レベル2+自動運転とは何か。テスラのFSDを追いかける百度のANPとファーウェイのASD 小米物語その96 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ まったく新しいアプローチ、レベル2+自動運転とは何か。 テスラのFSDを追いかける百度のANPとファーウェイのASD ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、自動運転の新しいアプローチ「レベル2+自動運転」についてご紹介します。 自動運転=AIが運転をするという発想は、発想だけであれば、そうとうな昔からあったでしょう。しかし、本格的な開発は、2009年にグーグルが非公開の秘密プロジェクトとして始めてからになります。グーグルは2012年にこのプロジェクトを公開し、交通事故による死亡者の多くが20代の若者であることを挙げて、自動車が私たち社会の未来を奪っていると訴え、交通事故ゼロを目指すことを宣言しました。 ここから世界中で自動運転プラットフォームの開発競争が始まりました。中国では、百度が2015年に自動運転の研究を始め、「アポロ」という名称の完全自動運転開発計画を進めます。 しかし、かなりの時間が経つのに、まだまだ無人自動運転車は身近なものにはなっていません。自動運転の最大の障害になっているのは、実は人間の感情なのです。 自動運転はどのレベルまで到達すれば実用化していいのでしょうか。合理的に考えれば、人間の運転による事故率を下回った時です。これは、グーグル傘下のウェイモー、百度のアポロ、中国の小馬智行(シャオマー、Pony.ai)などはとっくに達成をしています。しかし、私たちの社会は、毎日起きている人間の落ち度による悲惨な交通事故のことは棚に上げて、AIの運転による事故が1件でも起きると、それを強く非難をしてしまいます。 実際に、大きな影響を与えることになったのが、2018年のウーバーの自動運転車による事故です。アリゾナ州フェニックス郊外で、ウーバーの自動運転車が歩行者をはねてしまい、死亡させてしまったというものです。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 550円 / 月(税込)
  • 毎週 月曜日