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ジャニー喜多川性加害問題だけではない、ジャニーズ事務所の”闇” ~2~ 日本における「アイドル」 「芸能事務所」という人権侵害 子どもへの性被害対策 「G7で最悪の対策」
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ジャニーズ事務所の前の社長であり、創業者でもあるジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害疑惑問題については、結局は、喜多川氏のめいで現在の社長の藤島シュリ―景子氏が、約分間と動画と見解と対応について一問一答形式で書かれた藤島社長名の書面を公式サイトで公開するという事態に追い込まれた。
性加害問題をめぐっては、「週刊文春」が1999年10月より喜多川氏による所属タレントを「セクハラ」として、キャンペーン報道を展開。記事については、裁判で、記事の重要部分を「真実」と認定した高裁判決も確定している。
しかし、それでもジャニーズ側と大手メディアは”沈黙”。それが一転した。今年3月にイギリスの公共放送BBCが、喜多川氏への性的虐待疑惑を取り上げた、約1時間のドキュメンタリー放映。
直後、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんによる被害の訴えで、急速に真相の解明を求める動きが噴出する。
ここまで問題が放置されてきた理由として、芸能界の事情に詳しいジャーナリストの松谷創一朗さんは、朝日新聞の取材に対し、
「「芸能界は特別な世界だから」「一種の治外法権が許されているから」ということで、新聞社も含めたメディアも社会も「たかが芸能の話」とゴシップ扱いして消費してきた」(1)
結果だとする。
目次
・「アイドル」という人権侵害
・「芸能事務所」という人権侵害
・子どもへの性被害対策 「日本は強化を」「G7で最悪の対策」
・「アイドル」という人権侵害
そもそも「アイドル」という概念自体に重大な人権侵害をはらむ。ジャニーズ事務所に限らず、日本のアイドルは多忙なスケジュールや練習により過労な状態に。
当たり前であるが、若年時からの過度な労働は、身体的・精神的問題に直結する。
とくにジャニーズ事務所の活動は”ハード”であるとされる。その中でも、ジャニーズJr.は常にハードなスケジュールであり、夏休みなどは1日8時間近くのレッスンがあるという(2)。
1999年の「週刊文春」では、元メンバーのインタビューにより、ジャニーズ事務所が、メンバーが学校にいけないスケジュールを課しているが語られており、文春側の民事裁判でも裁判所により真実性が認定された(3)。
児童の本分は学業であるとはいうまでもない。世界で日本ほどアイドルという存在が希薄なのは、以上のようなことが徹底しているからだ。
映画「ハリー・ポッター」の撮影時さえ、イギリスの児童労働法で午後3時30分以降に児童を働かせてはならない、という法律が立ちはだかったほど(4)。
日本のアイドルというシステムは、“児童虐待”“児童労働”の可能性を示唆する問題だ。
・「芸能事務所」という人権侵害
日本の芸能事務所のあり方も大きな問題をはらむ。長時間の労働と過度な仕事量がたびたび問題となる。このことは、タレントやアーティストのストレスやメンタルヘルスに大きな影響をもたらす。
あるいは、芸能事務所とアーティストやタレントの契約条件も一部で不平等がまかり通っている。これは、報酬の不公平さや、「恋愛禁止」「結婚できない」などの所属タレントの人権上の問題をもたらす。
2019年8月、公正取引委員会は自民党との競争政策調査会で、芸能事務所がタレントとの間で交わす契約や取引について、どのようなケースが独占禁止法上の問題となり得るかを提示した(5)。
今回の措置は、事務所とタレントとの契約をめぐるトラブルが相次いだことによるもの。
「問題となり得る」と例示したのは、
1.移籍、独立をあきらめさせる
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